第810話 王級スクロール
ガーライト王国の私掠船に関する不穏な噂について各国に共有した後は、自身のドラセム商会のメンバと、懇意にしているミケラルド商会には同様の可能性を伝えて、様子を見るしかなかった。
「世の全ての事象を自分が確認して解決する必要も無いのですよ」
家宰ローデットから、我に返らされる助言を貰い、気持ちを切り替える。
特級魔法回復薬の作成はまだサラしかできないが、上級以下であれば仲間たちもできるようになっている。魔法のスクロール作成は、上級についてもサラ以外ができるようになっているので、王級魔法のスクロール作成に専念する。
スクロールとは、魔物から作成した羊皮紙に、砕いた魔石を混ぜたインクで魔法陣を描くことで、未習得の魔法でも魔力を込めれば発動できる使い捨ての魔道具の一つである。
作成者はその魔法を習得済みで無いと正確な魔法陣にならない可能性があるのだが、それ以外に中級魔法以上のスクロール作成では付与魔法の知識が必要であった。
さらに上級魔法以上の作成では、その羊皮紙を自作しているか高級鑑定にて十分に認識していないと失敗していた。
スクロールの製作は手間暇や条件が面倒であることから、サラが大量生産するまでは市場に存在する商品は少なかった。もともと世の中に魔法使いが少ない上に、多様な魔法を習得していなかったからである。なので、一般的な火風水土の4属性のうち初級魔法ぐらいしか流通していなかった。
サラによるドラセム商会によって中級や上級も市場に出るようになったのであるが、王級魔法のスクロールは存在も知られていない。そもそも王級魔法の使い手がほとんど居なかったのもある。
その王級スクロール作成へ挑戦するにあたり、まず従来の上級魔法までの手順で作成してみるが、発動が上手く行かない。見た目は羊皮紙に魔法陣を描いているので使用前においては従来品と変わらないのであるが、発動をしようとしたときに魔法陣がくすぶっている感じがする。
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