第807話 寄子訓練
代官地の第9区画で少し広めの土地を寄子たちに提供することにしたサラは、第9区画の南東地区は未販売のまま残すことにする。寄子が増えることを覚悟しての準備である。ただ第9区画においても、北東は他区画と同様に池のある空き地であるが、北西、南西の2地区は店舗用に販売する。すぐ西側の川を越えたところで、サラたちの関与はない官僚たちが整備している副都用エリアが充実してきているからである。
また代官地の需要が増えているため、既存9区画と北部の湖との間の、6区画分の整備速度も上げることにした。開発エリアの追加に合わせて、代官地の職員を既存職員の推薦制で10人、犯罪奴隷で代官地護衛隊20人、それらの世話のための家政婦を10人追加する。
それと並行して、新たに寄子になった5人を従士団のメンバと対面させて、特に寄子騎士団になる2人は従士騎士団の面々との共同訓練に参加させることにした。
それぞれが採用する従士を検討中であり、第9区画の住居が完成するまでの間には第1区画にある家臣団の宿舎に住まわせることで日ごろからの親密さを向上させるようにしてある。
ただ、問題になったのは新規5人の練度である。もちろん騎士爵に抜擢されるだけあり一般兵士よりは実力もあるのだが、ドラセム家の従士団は騎士団であっても簡易な魔法を使えるぐらい魔法が普及している。
王国魔術師団であった3人は、サラの魔法習得方法をそれなりに知ってはいたが、王国魔術師団の予算の都合から触媒やスクロールの使用などは制限されていた。
もう経済面ではまったく困っていないサラは、寄子特典として5人ともに、ドラセム家の従士団と同様の訓練環境を提供することにしたのである。
回復魔法による魔力操作の認知、空の魔石による魔力操作訓練、触媒やスクロールを無制限に使用することでの魔法習得、もちろん先輩たちが習得済みの魔法実演などである。ドラセム家魔術師団は大雑把には中級以上の魔法が使える者を割り振ったが、既に騎士団員でも中級魔法を使える者は出てきている。当然に魔力操作を使う武技の上達も早い。
さらに従士団において推奨している冒険者登録してのダンジョン攻略による、実戦訓練を兼ねた素材など小遣い稼ぎも教えておく。ただし、魔の森の開拓はあくまでもドラセム家とその家臣団で行う業務であることを従士団と寄子たちに念押しする。
また、寄子たちの従士についても同様の特典を与えるが、それだけ他国からの諜報員などが紛れ込む可能性があることに注意喚起しておく。
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