第798話 王国魔術師団指導

神国の騒動から帰国してから最初の、王国魔術師団への指導に向かう。

もともと王国で保有している魔導書を見せて貰うこととの交換条件で、団員への魔法指導をしていたのだが、目新しい魔導書がなさそうであることと、色々な忙しさにかまけて訪問が出来ていなかった。

昔は色々とやっていたことのうち、忙しさにかまけてできてないことが多くなったと反省する。仲間たちでもできることは分散する方が良いのであろう。


などと考えながら、ティアーヌと2人で馬車に乗り魔術師団の敷地に向かう。到着すると、相変わらず騎士団に比べると小さな拠点である。

事前に王国魔術団長のブロワール・レデリクスに連絡をしていたので、団長自ら迎えに来てくれている。

「ドラセム卿、侯爵への陞爵(しょうしゃく)、誠におめでとうございます」

「ありがとうございます。皆様のお陰です」

「そろそろ私の後の団長、引き受けて貰えないでしょうか?」

「何をおっしゃいますか。私には役付、しかも団長なんて大役は無理ですから。それよりも訓練場に向かいましょう」

自由が無くなるような提案、本当になってしまったら困るので、団員たちが待つはずの訓練場に急ぐ。


訓練場に到着すると、今までで最も多い団員が並んで待っていた。

「今までは若いドラセム卿の指導なんて、と思っていた団員も、この度の神国騒動を踏まえて素直に聞きに来たのだと思います」

伝説級である空間魔法の≪転移≫で実際に神国まで飛んだ者たちが王国魔術師団にもかなり居ることか、ドラゴンを従魔にして決戦で使役していたことか、実際の戦争において≪飛翔≫しながらいろいろと≪召喚≫しながら強力な攻撃魔法をたくさん発動させていたことか、王家や王族でもある公爵を除けば最高位である侯爵になったことか、思い当たることが色々とある。もう魔法のこと等で他者に知られないように隠したり、遠慮したりしなくなって来たのが原因であろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る