第797話 迷惑客2

「お茶が嫌ならば、もう夕方になるし食事はどうだ?」

「結構です!」

「それよりロン様、用事があったのではないのですか?」

「おぉそうだ、新たな研究のためにドラゴンの牙が欲しいのだが、入手できないか?」

「はぁ?ドラゴンの牙なんて。ワイバーンではないのですよね?そんな簡単に無理ですよ」

「そうか?最近ドラゴンを従魔にした者も居るという話だし、カーラならと思ったのだが」

「はいはい、また入手出来たら取り置きしておきますね。相変わらず連絡先は教えてくれないのですよね?」

「あぁ、俺は訳ありだからな。また顔を出すよ」

性格を横に置いておけば、最後の笑顔も含めてなかなかモテそうな感じである。


「サラ、ごめんね。さっきも言ったけど、お金もあるし知識もあるから、性格を置いておけば上客なのよ」

「客商売ですからね。それよりも、ドラゴンの牙、何に使うのですかね?何だったら取って来ましょうか?」

「ありがとうね。そうね、ドラゴンを従魔にした本人だからね。でも、あまり簡単に入手すると、入手元の詮索や、今後も期待されるのも面倒だから、しばらくは自然体で行くわ。期限も言われなかったし」

「わかりました。もし困れば、回復魔法で治す前提でドンから貰うのでも、仲間の訓練のためにドラゴン退治に行ってみるのでも、どちらでもやりますので」

「本当に頼もしい隣人だわ」


またしばらくカーラと楽しく話し込んだ後は、従士団のための魔剣などをいくつか購入してから、本宅にカーラを連れて行って皆で夕食を取る。

寝室で寝る前に、昼のロンという客を思い出す。

「迷惑な客だったわね。でもそういえば、魔法陣を見てすぐに中身を理解する知識はあったようね」


ドラゴンの牙を何に使うのか気になったので、翌日は代官地北部のドンの寝床に足を向ける。牙を要求すると、いくら回復魔法で治癒されても痛いのだから良い食事という交換条件を出され、魔の森の奥での狩りに付き合わされるのであった。

その結果、無事にサラの魔法の袋にはドラゴンの牙が保管されることになった。

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