第785話 辺境国終戦処理3
まずは各国への賠償、コルマノン王国とサラ以外への報酬の算定に目途がつく。
宝飾品などを神国内だけで売却すると神国でデフレ不況が発生する懸念があるため、倒した魔物たちから得た素材などと含めて、物品のまま各国に持ち替えることになった。
≪魅了≫で支配されていた冒険者たちも、至高教団から距離を取らせ社会復帰をさせるため、ガーライト王国に送り込むことになった。戦力を無駄にしないためにも、アルメルス神国との国境の魔の森手前にあるセントハムを拠点にして、魔の森の魔物退治に励ませる。十分に時間をかけて教団から距離を取ってもまだ至高教団に尽くしたい、神国に帰国したいとなれば帰国させる予定である。
最後に残ったのはコルマノン王国とサラへの報酬である。単純な派兵、支援物資については算定も済んでいるが、その他の部分についてである。
「ドラセム卿の希望はどうですか?もちろんダークエルフの身柄は確定です」
「珍しい魔導書や魔道具でしょうか。ただ貴重なものは賠償などに使われますよね?」
「高価な魔道具は、仰るように各国への賠償や報酬に割当済みですが、魔導書は・・・」
教皇は、事情を説明しはじめる。
至高教団では豊穣の女神デメテル様以外の魔法は表向きそれほど推奨していないどころか、特に悪魔魔法は非難の対象であった。とは言いつつ、幹部たちは悪魔魔法をこっそり習得している、それも他者には公開しない世襲で秘匿、という状況。つまり、宝物庫には貴重な魔導書は残っている可能性も低く、さらにはそれを読み解ける者たちはほぼ残っていない。教団の教義などが混ざった書庫で、どれが魔導書かも区別されていない、というのである。
サラもそんな状態の書庫の書物群を貰い受けたいとも思えず、結論は保留することになった。各国の外交官が居ないところで、地下のダークエルフの遺跡には、自由に≪転移≫してくる許可だけは貰えたので、取り急ぎ思いつくものはない。
コルマノン王国としても、これ以上の貨幣価値がある報酬を貰い過ぎて神国が破綻し、難民が各国に流れ出すようなことを希望しないため、国家間における大きな貸しを残す意味で、保留することに同意する。
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