第786話 侯爵陞爵
保留はあるものの一通りの整理がついたところで、サラは宰相や仲間たちを連れてコルマノン王国に帰国する。
ちなみに、ガーライト王国まで渡航した船やメンバは、継続してミケラルド商会の指導を受けながら貿易に従事することになっている。
帰国に合わせて、ハリーとティアーヌを連れて登城するよう宰相から指示を受けたので、本宅に戻り家宰ローデットの指示でドレスに着替えて馬車で向かう。
いつもの応接においての面談ではないようで、既にある程度なれてきた謁見室に案内される。
「サラ・ドラセム伯爵、この度のアルメルス神国での対応、誠に大儀であった」
ある想像された、褒め言葉と共に侯爵への陞爵(しょうしゃく)を宣言される。
控室に移動して、法衣侯爵の年金が金貨1,000枚つまりミスリル貨10枚であること等の説明を受けるが、金銭面以外で伯爵との違いは実感できない。既に膨大な貨幣を自身で稼ぐことができるからでもある。
金貨1枚が銀貨100枚で、普通の職人日当が半銀貨から1銀貨であるから、金貨2~3枚で従者を1人雇用できる等と計算していたときとは大違いである。
事務方からの説明が終わった頃に、国王と宰相が入室してくる。
「ドラセム卿、この度は本当に良くやってくれた。どうやって謝罪を勝ち取るように外交交渉するかと思って送り込んだはずが、神国を救い、ガンであった教団幹部を一掃するのであるから、想像もつかない」
「まったくでございます。コルマノン王国は、ドラセム卿のおかげでどこにでも軍勢を派遣できる国家であることを各国に示すことができ、外交的に大変優位になりました。神国に対しても大きな貸しを作ることができました。ドラゴンを従えるドラセム卿を擁するコルマノン王国を敵にまわすことを考える国は無くなったでしょう」
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