第779話 ダークエルフ村2
「私がこの村の長ヘエルです。対話を希望とのことですが、立ち話というわけにもいかないでしょう。かといって、村に案内もできませんので、その平地で腰掛けるとしませんか?」
温和な発言であるだけ手強そうな者が出てくる。
「ご丁寧にありがとうございます」
「さて、我々の望みを確認されたいと?もちろん、今はダラムと呼んでいる地を取り返すことです」
「それは現実的でないことはご理解されているかと」
「今回、惜しいところまで行けましたが、そちらの皆さんのお陰でダメになりましたな」
「一時的な占領がご希望ではないですよね?数の少ないダークエルフが人類の首都をいつまでも支配できないことはご認識かと。それにオークたちと一緒では安息は望めない」
「良くお分かりで・・・そうですな、正直にお話します。安息の居住地が欲しいのも確かですが、ダラムの地には我々の聖地があるのですよ」
「話には聞いていますが、いかほどの物が残っているかわかりませんよ」
「それでも、自分たちの目で確認したいのですよ。それを目標にこの辺境の地で生き延びてきたのですから」
ダークエルフの本音を確認できたので、いったんサラたちに状況を説明しに上空に戻る。
サラは首都ダラムに≪転移≫して、教皇に面会を申し込む。コルマノン王国からの使節団や宰相も合わせてである。
「ふむ、ダークエルフの本意は聖地でしたか。昔のダークエルフたちの施設の上に教会施設を作って大きくして行ったのがダラムです。教団幹部でも限られた者しかその存在は知りません」
「そこをダークエルフに見せることでこの“戦争”を終結できる可能性があるのですが、連れてくることは可能でしょうか?」
「“戦争”相手を、首都の教会の最奥に連れて行くことは、堂々とはできません。ただ、ドラセム卿ならば秘密裏に連れてくる手段がありますよね?さっそく今からご案内します」
豪華な神殿の奥、日頃は誰も立ち入らないであろう閉鎖された空間の奥に地下への道が続いていた。
「教団がひた隠しにしてきた恥部です・・・」
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