第771話 反撃準備

「選り取り見取りのはずなのに、どうして?」

「まだ冒険したり魔法を極めたりしたいのに、結婚すると縛られそうで」

「上級貴族になられたので、いつまでも逃げられないですよ。この魔物騒動でますます各国からも注目を浴びたので、コルマノン王国として囲い込みは必至でしょうし」

差し入れ用の食料などを取りに戻った際にも、本宅でリリー達にからかわれつつ、家宰ローデットからも現実を突きつけられる。

サラにとっては魔物と戦うよりも難しい戦いから逃げ出すため、魔物討伐に注力することにした。



決戦が終わり、魔物の軍勢も今は散り散りになっている。これを機会に、まずは辺境都市ロージアンまで追い返す必要がある。

しらみつぶしにするには、まず入口であるロージアン付近からの神国への侵入を食い止める必要があるので、サラたちはロージアン南西にあった城壁の復活を考える。

決戦場での敗北が伝わっていないのか、南西からまだ次々と進入して来ている様子を≪転移≫でロージアンに来たサラたちは知っているので、城壁付近にいた魔物を、ドラゴンのドンを含めてサラの従士たちの総力で一掃する。そのままでは城壁付近だけ一時的に空白になっても、辺境側からと、神国に侵入済みの両方から攻められるだけであるので、ドンには城壁の南西側に陣取らせて片方を食い止めさせる。

「そうね、城壁そのものは残っていて、やられたのは城門だけだったから、まずはブレスで敵を追い払って、そこに寝転んでいて」

魔物たちも実力差が明らかであるドラゴンに対しては距離を取ろうとするため、一時しのぎには十分である。


その間に、城門そのものを復活させてもまた破られる可能性があるため、まずは城壁と同様に石造りで埋めてしまう。コルマノン王国の代官地の石壁製作で慣れたサラやその仲間たち、そして土精霊ペクトーンの力で、頑丈な石壁を築き上げてしまう。

これで上空を飛べるものでない限り通行ができない、今までとは比べ物にならない城壁が完成した。


続いてサラたちはロージアンから首都ダラムまでの最短ルートに存在する魔物の軍勢に対して、≪飛翔≫も行いながら精霊たちと協力して攻撃魔法を大量に使用して間引きを行う。

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