第770話 ダラム防衛戦後
ダラム防衛戦である、ダラム南西の川を挟んでの人類共同戦線と人型魔物の軍勢との対決は、魔物の壊走で終結となった。
しかし、人類側も少なくない被害を被っていた。
サラたちは負傷者たちに回復魔法を使用するだけでなく、魔法回復薬も惜しげなく配布、使用して貢献する。
ガーライト王国の国王アルミーノも、ハイオークキングと一騎打ちをして討ち果たしはしたがそれなりの負傷もしていたので、サラが回復魔法を使用する。
「ドラセム卿、すまんな。歳には勝てんな」
「Aランク魔物を一騎打ちで倒す人が年齢を口にされるのはおかしいですよ。それより国王陛下自ら先頭に立たれることの方がおかしいとは思いますが」
「いや、ガーライトでは先頭に立つのが普通だぞ」
苦笑いするしかないサラであった。
その日の夜は、ささやかながら祝勝会が開かれることになった。
「本日の戦闘では皆様のおかげで大勝しましたが、避難キャンプで食事も十分でない者たちも居るため、このような形で申し訳ありません」
教皇からの謝罪から始まる。酔うほどのお酒も振る舞われることなく、形ばかりの宴であったが、活躍したサラたちやガーライト国王アルミーノのまわりに人は集まってくる。
「ドラセム卿は強いだけでなくお美しい。ご結婚などはどのように?もしよろしければ我が息子など・・・」
「いや、ぜひとも我が家に」
「いやいや、サラ殿はアルテーラ王子である我、ダニエーレ・ロリアルド・アルテーラのもとに」
せっかく、コルマノン王国の新年の集いを免れたと思ったところであったのに、この始末。サラはコルマノン王国からの使節団たちに助けを求めて視線を向けると、テオドナ・モンブリー伯爵、クリミーユ・タンプ子爵の2人も苦笑いしつつ、
「ドラセム卿の婚姻についてはコルマノン国王が調整すると公言しておりますので、ご容赦ください」
と救い出してくれる。
2人には感謝しつつ、宴から逃げるためにコルマノン王国の本宅に食料等を取りに戻り、ロージアンに居る仲間たちへの差し入れをしながら、そちらで自分たちだけの落ち着いた打ち上げをするのであった。
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