第758話 ドラゴン討伐準備
サラの実家の近くでもある、コルマノン王国とレーベルク帝国の間にある龍の棲むという山で、遠くに感じたドラゴンの脅威を思い出す。帝国との戦争時であり、格下の飛竜ワイバーンへの対処のみで逃げ帰った記憶である。
あれから≪召喚≫できる対象が増えたことや、多くの魔法を覚えたこともあるが、やはりドラゴンは恐怖の対象である。しかもSランク魔物というのは、Aランクより上というだけで、同じSランクのなかでも強さには幅がある。ドラゴンも長く生きたものであれば、人類の言葉も話し多くの魔法を使える脅威になるという。
強力な魔物をエサにするのではなく、ふもとの家畜を襲うぐらいであるので、Aランクに近い側のドラゴンであることを期待する。
仕事の早い家宰ローデットが早々に屋敷や奴隷を調達することで、3交代で移動するメンバの休息場所も確保しながら、サラがドラゴンに挑む準備は進んでいく。
当然、アルメルス神国の辺境都市ロージアンに残しているサラの仲間は減り、そのロージアン横を通って神国内に進入する魔物の間引きが減ってしまっているが、各国からの将兵により村々への護衛や、村々から首都ダラムへの避難が進んでいることからか、特にひどい被害の報告は上がって来ていない。何としても今のうちに、ガーライト王国の支援を取り付けて、魔物たちを辺境に追い返さなくてはならない。
そう思いながら、≪飛翔≫でルート確保するメンバも頑張った成果か、ドラゴンが家畜を襲いに来ているであろうと言われる山の近くまで座標確保を出来るようになった。
いったん3交代制で移動していたメンバにも十分な休息を与えた上で、ハリーはワイバーンのワンと共に、そしてサラの冒険パーティーでもあるミーナたちが勢ぞろいして、そのドラゴンの生息地と思われる山まで≪転移≫することにした。
事前に王城に報告したところ、
「ズルをしないか確認のために俺も行く」
と、きっと見学を楽しむためだけと分かる言い訳をして、国王とその護衛数人も連れて行くことになった。
「ほう、この≪転移≫は強力であるな。確かに軍勢を思ったところに送り込めるとなると、今までの常識が覆るな」
これ以上は、ややこしくなるので余計な用事を思いつかないように、と祈りながら、ドラゴンの捜索を行う。
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