第754話 防衛体制構築2
「それで、これからどうしたら良いか、皆様の忌憚ないご意見をお願いします」
「派兵している我々とすると、長期戦になるほど将兵の精神的疲弊が積み重なるため、早めに決着できるとありがたいです」
「確かに、食料に関しては、オークもしくはハイオークを倒すことで肉は入手できますが、野菜系が不足しがちであり、それら補給物資についても、長期戦になるほど苦しくなります」
「補給については、ドラセム卿の力でユノワ大陸から支援もできますが、長期戦を望まないのは同じくです」
「今は避難させている村民たちへの支援物資の面も、さらにはその村々の農作地が荒れて行くことも踏まえると神国としても長期戦は望むものではありません。しかし、決定力に欠けているのは確かかと」
「ガーライト王国との交渉はいかがでしょうか。かの国の力を借りる、そこへの防衛力を南西に向けて貰えば、状況は改善するのではないでしょうか」
「皆様の国々と違い、ガーライト王国の王都にはドラセム卿が≪転移≫できないため、通信に時間がかかっております」
「それは、ドラセム卿にこの南西防衛や各国との運送を減らして貰うことで、ガーライト王国と交渉に進めるようになるということでしょうか」
「今、ようやく拮抗状態に慣れたのはドラセム卿のお陰であるが、皆がもうひと踏ん張りしてドラセム卿にガーライト王国に行って貰うようにできないですか、皆様」
軍議の結果、サラたちはガーライト王国でも東部にある王都ムリンに向かうことになった。港町ホーマから王都ムリンの間は馬車で4週間ほどとのことであり、バトルホースなどで駆けても2週間ほどはかかる見込みである。
今の拮抗状態がいつまで持つか分からないこともあり、少しでも早く王都にたどり着く必要があるので、夜間も含めて≪飛翔≫で直線移動することにした。3交代制にし、交代タイミングでサラが≪転移≫する座標を水精霊シルビーにより把握して人員交代する。
1人では万が一のトラブル発生に不安があるため≪飛翔≫が可能な2人組にして、それを3交代のため、ロージアン付近での魔物の間引きに対する戦力は自然と減少することになる。
それでも、普通ではありえない強行軍により、王都ムリンまでたった数日で到達することができるようになった。サラが≪転移≫できるための屋敷や奴隷の調達もしたいが、まずは教皇を連れて来て国王に面会することが優先である。
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