第722話 首都ダラム手前

「豊かさだけでなく、首都と使節団が通る街道沿いでは何処もデメテル神殿、至高教団一色であるらしいぞ。それよりも、神国の南西に何かあることは知らなかった。神国の、たまに理解できない行動の源泉はそこにあるのかもしれない。継続調査をするように」

宰相との面談結果を、ダラム手前の野営地に戻って皆に共有する。


「俺たち、首都ダラムと港の通常の街道を通っていないからなぁ」

「張りぼて・・・」

「ま、この後に首都に入ればある程度わかるだろうし、使節団とも合流して会話をすればもっとわかるだろうな。それよりも、南西には何があるんだろうな」

「まずは、首都ダラムにどう入るかだけど」

「サラだけまた後から≪転移≫なんだろうな」

「いや、流石に首都だから、サラだけでなくハリー様たちのお名前も危険かと」


トリストフたちの指摘に従い、サラの冒険パーティーであるハリーたちも待機して、後から≪転移≫することになった。

まずトリストフたちだけがダラムに入り、少し上等なエリアの宿屋を取り、そこへ≪転移≫する。その後、コルマノン王国の使節団が定宿にする王国の屋敷に、宰相から預かっていた手紙と自分たちの拠点の情報を合わせて差し入れる。

ちょうど使節団も到着したばかりのようで、折り返しの連絡を待つまでの間に、首都ダラムの探索と情報収集をすることにした。


首都だからか、今までの街とは比べ物にならないぐらい栄えている感じがする。また、政治機能も兼ね備えているからか、かなり大規模なデメテル神殿が存在する。

トリストフたちを中心に情報収集をさせてみるが、ここではガーライト王国だけでなくユノワ大陸にあるコルマノン王国などに対して自分たち神国が優れており、至高教団の教えを広めて助けてあげないといけない、という表現がたくさん聞かれる。

しかし、冒険者の数は首都の割には少なく思える。冒険者ギルドや酒場でも、金に困っているならば南西に行けば食べるのに困ることは無い、程度の噂話はあるが、その理由などは教えて貰えなかった。

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