第720話 神国最東街アルスター

アルメルス神国で最も東にある街のアルスター。魔の森を挟んでガーライト王国と対峙しているので、アルメルス神国にとっても最前線基地であるのだが、陸戦が無いままであるので、反対側のセントハムと同様に、軍隊よりも冒険者の多さが目立つと思っていた。

にもかかわらず、城壁内に入ると活気はなく、冒険者もあまり居ない閑散とした街であった。


まずハリーたちとトリストフたちは別々の宿屋に拠点を構え、ハリーたちの方にサラは≪転移≫で合流する。その上で、それぞれの宿屋の間を水精霊シルビー経由で伝言しながら情報交換するが、全員が同じ感想を抱いていた。

さっそくハリーたちは買い物をしながら、トリストフたちは酒場も使って、情報収集をして、再度情報交換を行う。


「至高教団を中心とした国家運営であるからか、もともとアルメルス神国は質素な暮らしを徹底されているらしい」

「最前線基地とは言っても、陸戦がないので軍隊もあまり常駐していなく、魔の森の手前の魔物の間引きが目的程度の数しか居ないそうです」

「冒険者たちにとって、この東部の魔の森よりも稼ぎの良いところがあるらしく、首都やそれよりも南西に集まるとのことです」

「南西に何があるのかは一般人には教えられていないようで、そのことを話すこと自体が犯罪として衛兵に取り締まられる気配です」

街に出るのを控えていたサラに、それぞれが調べたことを共有してくる。


「何か思っていたのと違ったわね。どの街も神殿を中心に栄えていると思っていたのに」

「ユノワ大陸の3国やガーライト王国と違って、全般的に貧乏なのかな」

「貧乏ではなく、質素、と言っているみたいだけど、確かに豊かそうに見えなかったわね」

「これ以上の情報収集で下手に目をつけられるより、首都を含めて西部に行けば自然と色々と分かるかもね」

「いざとなったら王都のワーズに≪転移≫で戻って、神国出身のアッズーラとチェッリーナの姉妹に聞くのもありかもね。今まで教えてくれていなかったのは、それなりの理由があるだろうから、あまりしたくないけど」

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