第719話 アルメルス神国入国

セントハムの街から夕方に出て、暗くなってから≪飛翔≫で南下するサラとティアーヌ。

≪夜目≫の魔法があるため真っ暗な中での飛行にも問題は無く、道沿いである必要もないので通常の馬車やバトルホースによる騎乗よりも高速な移動ができている。

とは言うものの、結局山にたどり着くには2日ほどかかってしまうのもあり、疲れたときにはハリーたちが居るセントハムに≪転移≫で戻って休憩しながらである。途中からは人影も見えないので昼間でも≪飛翔≫で移動はしていたが、魔の森の範囲外を通行していたので、戦闘することもなく移動することができた。


同じように山に到着してから西に向かうのも、サラとティアーヌだけで行うが、山でもふもとの方だけであったのでワイバーンなどの魔物が出現することもなく、無事に越境して、アルメルス神国側に入国できた。

その後は魔の森の西側で今度は北上し、神国側としての最前線基地であるアルスターの街を目指す。

結局、セントハムから山に2日、山での西進に3日、山からアルスターに2日ほどかかったが、特に問題は発生することなくアルスターの近くまで到着することができた。


問題はここからである。

コルマノン王国とアルメルス神国は戦争状態ではないが、サラ自身は神国に目をつけられて刺客まで送られる状態である。

街に入るときの身分証の提示が悩ましい。コルマノン王国の貴族としての身分証でも、冒険者としての金の身分証でもサラ・ドラセムと明記されているからである。

ガーライト王国の中でも、金級や銀級冒険者の身分証というだけでざわついていたが、サラ個人についてはそれ以上の問題は無かった。

仕方ないので、神国内ではハリー達だけで街に入り、宿屋で確保された場所に、街の中から≪転移≫で不法侵入することにする。


まず、セントハムから≪転移≫でハリーたち全員を連れてくる。馬車は魔法の袋に入れて、馬だけはそのままで、魔の森を目的に来た冒険者パーティーを装うことにする。

人数が多いことで目立ちたくも無いので、トリストフたちとは別のパーティーになり、街に入るのも時間帯をずらすことにする。

もちろん街に入るのは、魔の森やガーライト王国とは反対側である西側の門からにする。それでも、金や銀の冒険者の身分証はざわつかせたが、無事に宿屋に着いて、サラも合流することができた。

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