第689話 光精霊

交代で番をしていたが、早朝の順番であったティアーヌとリリアナは、昨夕とは逆に東の日の出を見て皆を慌てて起こす。

「みんな起きて。朝日が綺麗よ」

「夕陽もきれいだが、東の山脈の合間から出てくる日の出も神々しいな」

「ん?あれは何?」

東側に少し降りたところの岩陰に光る物を見つける。既にかなり朽ちて崩れているが、祠に備えられた金属皿のようであった。


「もしかして!」

水精霊シルビー、火精霊ヨルバ、風精霊ジョステル、土精霊ペクトーンを召喚して、光精霊の存在を問う。

「あぁ、ここには光精霊の祠があったようだな。ここまで朽ち果てているのは酷いが」

Bランク魔物の魔石をその金属皿に載せて光精霊に対して祈りを捧げる。


「久しぶりの奉納、ありがたく貰ったぞ」

まだ朝日が眩しいなか、さらに明るい精霊が宙に浮かび姿を現す。

「水、火、風、土、これまたたくさんの精霊を集めたものだの」

「サラと申します。ぜひ光精霊のあなたとも契約を結ばせて頂きたく。お願いいたします」

「ふむ、まず光魔法の習得度合いを見せて貰おうか」

「かしこまりました」

充分に周りが明るい中であったが、上級≪大照明≫を発動して光魔法の力を示す。

「なかなかじゃな。わしの真名はメスメレンである」

魔導書を貰い、早速≪契約≫と≪召喚≫を習得する。

他に≪大照明≫を習得していたティアーヌも光精霊メスメレンと≪契約≫して≪召喚≫も習得するが、2人以外のミーナ、アルベール、リリアナは光魔法を初級までしか習得していなかったので、まずは中級を習得してからメスメレンに契約を依頼することにする。


思いがけない成果がヴィリアン侯爵領への遠征で得られたうえに、魔導書に見えた王級の光魔法が楽しみなのもあり、気分が盛り上がっているサラたちは、山頂から仲間のもとへ降りて合流する際、ワイバーンや地龍ドレイクなどへ過剰攻撃になるぐらいすごい勢いで進むのであった。


山の途中で皆と合流したサラたちは、ダンジョン攻略組を除いて、いったん陣まで戻ることにする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る