第684話 魔物殲滅作戦準備

ヴィリアン侯爵領の南東は魔の森の領域である。その森に対して、3つの村が対峙する形であり、領都はそれよりかなり北西側、街道沿いにある。

3つの村でも真ん中の村が魔の森に一番近く、今回オークとゴブリンの襲撃を受けた村になる。その村と魔の森の間に陣を設営している状況である。


襲撃後すぐにスタンピードを警戒して3つの村の塀を≪石壁≫で強化したが、時間がある間にそれぞれの村と相談して、その周りに堀を作ることにした。これも≪土壁≫の応用でサラたちには慣れたものである。

それで3村の防御を固めておき、村々から魔物の生息地などの情報を確認する。


村民はやはり少しは魔の森に進入し、手前で薪や薬草を入手したり、通常の獣を狩っていたりするという。その彼らの話では、彼らが足を踏み入れる範囲ではEランク魔物がほとんどでオークなどのDランク魔物はまれであるという。

領都の冒険者ギルドにあった依頼の中身とも合っている。

それが今回、オークやゴブリンが集団で襲撃して来たということは、ゴブリン村やオーク村がそれなりに近いところにできている可能性がある。


≪飛翔≫やワイバーンへの騎乗したハリーたちからの情報でも、魔の森には木々が切り開かれて家屋らしきものが並んでいるエリアが何か所かあった。

魔の森の奥に見えている高い山も一部は侯爵領の中というので、そこまで飛んでみると、途中にはCランク魔物である白猿ホワイトエイプが生息したり、山まで行くとBランク魔物のトロールや地龍ドレイクを見かけたりした。

思っていたよりCランク以上の魔物の生息域が近いことに驚く。やはり魔物の間引きが少ないため侵食して来ているのかもしれない。


フェルールの到着まで待つつもりであったが、流石にヴィリアン侯爵領の騎士団たちの巡回において、3つの村の様子が変わったことや何十人もが設営していることは気づかれて、説明を求められる。

「令息夫人フェルール様の同級生であり、その依頼で来たのですが、オークたちの襲撃の報を受け、先に対処しておりました。それ以上についてはフェルール様の到着をお待ちする予定です」

ヴィリアン侯爵家からの依頼書を提示すると納得はされつつも、喜んでくれる者も居るが、自分たちの力不足を指摘されているようで渋い顔をする者も居た。

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