第677話 フェルール来訪

魔の森の開拓において、人工池や水路の整備も進み、次は今の9区画の北側にできた6区画分を順次丁寧な整地をしていく段階になる。ここまで来ると、サラが居なくても、他の騎士団員や魔術師団員の訓練を兼ねて任せることができる。


サラは開拓中に少し優先を下げていた、魔法回復薬の調合や上級スクロールの製作、仲間たちの魔法の袋の製作と≪時間停止≫の付与などに明け暮れることになる。

とはいえ、そればかりではつまらないので、新たな魔法習得の訓練も行っている。魔法回復薬で代用できるから先送りしていた回復魔法も、天使マルカルロの指導によって、上級≪病回復≫、王級≪王回復≫≪石化解除≫を習得した。

アルベールとリリアナは≪上回復≫、さらにミーナ、アルベール、リリアナは風魔法の≪爆雷≫も習得、ティアーヌは土魔法≪重力≫、光魔法≪大照明≫、闇魔法≪大夜霧≫を習得して、少しずつサラにも追いついて来ている。

他の魔術師団員も、この冒険パーティーメンバの指導もあり、底上げがされて行っている。


その間には家宰ローデットの19歳、サラの18歳の誕生日も迎えた。

ローデットの誕生日は身内だけでお祝いをしたが、彼女の父であるヴァーヴ侯爵家の執事からは、そろそろ結婚を考えるように、という圧力が強くなってきているらしい。

苦笑いしていたサラも直ぐに誕生日を迎えて、流石に貴族当主の誕生日を身内だけで祝うわけに行かず、本宅で縁のある人たちには声をかけた。


そこには、ワチエダンジョンで知り合い、魔術学校でも同級生として仲良くなったフェルールが王都に居たようで来てくれた。

軽く結婚のことは問われたが、受流すと見逃してくれた。それよりも深刻な表情であったので、パーティーの後に個室に移動して話を聞く。

「フェルール様、侯爵令息とご結婚された後、何か問題でもあったのでしょうか?」

「いえ、結婚そのものは。よくして貰っています。ただ、その嫁ぎ先の侯爵家の領地で問題が発生しておりまして」


フェルールの許可を貰い、家宰ローデットとハリー、リリー、ティアーヌを同席させて、その問題を聞くことにする。

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