第668話 孤児院拡充

また増えて来た貨幣を見て、サラは改めて孤児院運営による社会への還元を意識する。

すでにスモールスタートとして始めた孤児院は3人が卒院して勤務を始めているので、残るは5人だけである。

以前に建て増ししたときに孤児は20人まで増やせるようにしていた。ただ、その場合には面倒をみる大人がもっと必要になる上に、今の孤児院は子供が1歳になったばかりのデュドニとガエルの夫婦のみである。彼らは本宅の料理人や家政婦も兼務しているので、これ以上の孤児増員は厳しい状況であった。


「ローデット、孤児の運営スタッフをまず増やして練習させて、慣れてくれば孤児を増やすのはどうかな?」

「そうですね。そのためには、孤児院スタッフの住居棟を増やした方が良いでしょう」

「あと、デュドニとガエルの補助に家政婦も増やした方が良いよね?」

「そうですね。では、本宅まわりの家政婦的に3人、孤児院スタッフに10人としますか」

「帝都でこの前に3人購入したとき、まだまだ犯罪奴隷の女性が居たから、あっちで買ってくるね」

サラはガエルを連れて帝都に転移し、奴隷商で女性スタッフを13人選んで購入してくる。その転移などを含めた秘密を洩らさないようにいつもの命令をした後は、ガエルがローデットと共に入浴や着替えをさせたり家事の手伝いなどをさせたりするなかで、3人と10人の役割を決める。


あわせて、今の孤児院横にあった来客用の屋敷は開発地に移転させて、そこに従業員20人用の棟と孤児10人の棟を増設する。本宅との間に新棟を作ることで、子供が遊べる内庭ができるようにする。

それら工事が終わるまでは、今までの従業員棟に住ませることにし、元悪魔教団の10人が来たこともあり溢れる従業員棟からはミーナ、アルベール、リリアナ、ティアーヌ、ディディエを本宅に引っ越しさせる。


そうこうしているうちに新年になり、1月1日を誕生日とした孤児たちは1つずつ歳をとるので、メオン、ジョジゼル、ヨームの3人が8歳となった。職業訓練として何になりたいか希望を聞くと、男の子のメオンとヨームは近衛騎士隊、ジョジゼルは魔術師団とそれぞれドラセム家の従士団を希望する。去年と一昨年の3人は文官志望であったので意外ではあるが、それぞれ魔力操作もそれなりであったので、脱落はしないであろうから希望通り配属することにし、装備もそれぞれ与えることにした。

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