第667話 帝国遠征後始末

アッズーラ姉妹の扱いが決まった後、サラは登城して帝国からの帰国の報告を宰相に行う。

「今回も色々と活躍してくれたようだな。よくやった。アッズーラ姉妹も家臣にしてしまっても良かったのだが、雇用関係が無くても開拓地に囲い込むのは、神国への対応上も良い結果であろう」

「ありがとうございます」

「ところで報酬についてだが、冒険者としての報酬はしっかりと帝国から貰ったようだな。王国からはこれだ」

こちらでもミスリル貨が入っていると思われる布袋であった。

「そんなあからさまに残念な顔をするな。帝国が報酬を渋っていたならば、魔導書の閲覧も考えたが、王国が過大な報酬を渡すと対外的に問題になるであろう?」

「ありがたく頂戴します」

「ま、開拓も頑張れ」


帝国と王国から貰ったミスリル貨は家宰ローデットとも相談し、主に同行した5人を中心に従士たちに分配しつつ、大量に余ったお金でさらに開拓を進めることにする。

帝国に行く前に着手しだした、既存4区画の東・北の5区画も大雑把な枠は出来上がって来たようである。≪石壁≫などの魔法で出来る範囲ではない家具など職人に依頼する物も多いので、それらの費用に充てることにする。ただ、その土地や家屋が売れればそれ以上の貨幣が返ってくるので、今後の費用の使い方を再検討する必要がある。



サラたちが登城したりしている間に、元悪魔教団の10人は悩んでいた。

いつか仇につながる者として殺される覚悟をして、帝都での間やそこからずっと大人しく王都まで付いて来ていたが、どうも違うようである。従士団としては先輩ということになる、アルテーラ王国で雇用することになった元悪魔教団の3人に、これまでの扱いを聞いて驚いていた。

犯罪奴隷ではあるものの、それらしい扱いはされない上に、ドラセム家の者である証のローブを着ていると過去は問われず、普通に街中で買物などもでき、冒険者活動もできる。さらには魔法の効率的な指導もあるため、以前より上達も早いとのこと。


それからは、与えられた魔術師団のローブを着て、冒険者ギルドにも登録し、王都ダンジョンでの訓練をしつつ、訓練の合間では、属性魔法の練習を兼ねて魔の森の開拓に励むのであった。

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