第666話 アッズーラ思惑2

王都にたどり着いたサラたちは、冒険者ギルドで護衛達成の手続きの後、王城にアッズーラ姉妹を連れて行こうとすると、彼女たちから、国としての受入でないのなら登城は不要なはずと断られる。

宰相に連絡してもその判断で良いと言われるので、彼女たちの信奉する戦の神マースの神殿へ案内する。サラはそのまま神殿に残るのだろうと、姉妹を残して退出しようとすると、アッズーラ姉妹は

「これから王都で暮らしますのでよろしくお願いいたします」

という挨拶のみで一緒に付いてくる。

「どういうことですか?」

「え?逆にどういうことですか?」

「このマース神殿で仕えるのではないのですか?」

「いえ。ドラセム様のところで働かせて貰えないですか?」

「え?上位の神官を?ないです、ないですよ」

「即答されずに、家臣の皆様にもご相談してくださいませ」


王都の本宅に戻り、家宰ローデットたちと相談するが、いろいろな秘密もあるのに奴隷契約も無い他国の神官を従士団に、というのは難しいが、魔の森の開拓地の神殿に、という案が良いとなる。

開拓地の第3区画は、基本的には住宅ばかりを想定していたが、そこにマースを祀る神殿を増やすというのである。


アッズーラ姉妹に相談すると、

「家臣団には入れて貰えないのですね。ただ、神殿を賜るとのこと、ありがとうございます」

と残念そうではあるが、承諾はされる。

急ぎ神殿建築を発注するが、それまでは本宅横の来客用の屋敷で暮らして貰い、孤児院の子供たちの相手もして貰うことにした。


ちょうど、料理人、家政婦や孤児院運営などを任せている夫婦のローデットとデュドニの子供マドロアの誕生日になり、皆でお祝いを行う。

新規メンバの歓迎会でもあり、王都内の本宅の庭で盛大に行う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る