第664話 帝都屋敷調達

10人をメンバに加えることになったサラたちであるが、帝国が神国と対応を終えるまで待つしかなく、最低でも帝都から港町までの往復時間を待つのが分かっている。


仕方ないので、帝都に屋敷を調達するのをこのタイミングで行う。官僚と冒険者ギルドそれぞれに相談し、結果官僚からの紹介で知った、隠居した商人が住んでいたような少し大きめの屋敷を購入することにする。余り来る用事が無いことを期待はするが、転移する可能性もあるので、転移陣のためである。

空家では物騒なこともあり、家政婦的な使用人として、少しは戦闘力がありそうな犯罪奴隷の女性を3人雇用する。


また元の黒ローブのまま帝都の中を歩かせるわけに行かないため、支度金を与えていくつかの服を購入させる。本当はドラセム家の魔術師団のローブを与えたいのだが、王都からどうやって取り寄せた?となるので、しばらくは模様無の単なる濃青ローブを羽織らせる。もともと持っていた小容量の魔法の袋もそれぞれに返してある。


あわせて従魔屋でバトルホースを10頭購入し、新たに増えた元悪魔教団の10人に騎乗の訓練を行う。もうハリーにすれば新規メンバにこれらを教えるのは慣れたものである。

サラたちは、悪魔魔法に偏りがちであった10人に対して、触媒やスクロールも用いながら属性魔法など幅広く習得を指導する。もともと上級の魔法使いであり魔力操作も十分できる素地があったので問題はない。さらに空になった魔石による魔力操作の訓練など、ドラセム家の魔法訓練を早々に始めさせる。

ある程度習得できれば、次は精霊との契約も順次行わせて、他人の目があるときには悪魔や悪魔魔法だけに頼らなくても大丈夫なように指導する。



ハリーの誕生日を皆で祝ったりして1ヶ月ほど経った頃、帝城から声がかかる。

「神国は引き上げて行きました。本当にドラセム様のお陰です」

「冒険者として悪魔教団の討伐をお手伝いしただけですよ」

「いえ、実はそれだけではありません。ドラセム様が助けられたアッズーラ様が助け舟を下さいまして。神国が派遣した使節団の横暴さ、それによる挑発行為を告発すると。お陰で帝国として後ろめたい幽閉行為は神国の挑発に起因すること、悪魔教団も討伐したことから神国が帝国を責める理由がなくなったのです。これも間接的にドラセム様のお陰かと」

「アッズーラ様が。それは、結果として良かったですね」

「実はここからお願いがありまして」

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