第641話 代官地都市計画

ドワーフ職人からの方針はまとめると次のとおりである。


人が増えてくると火事が怖い。街区の区切りは石壁にした方が良い。可能であれば石造りの家を増やすべき。

都市に衛生観念は必須。飲み水などの上水と、排せつなどの下水の分離設計が大事。地下下水道をはじめから用意する。

ゴミも再利用で欲しい人にあげる、生ごみは肥料に、等の工夫が必要。

豊かな街になると盗賊も来るし、魔の森なので魔物の襲撃への対応も必要。


これらを踏まえつつ、川の西側の件でつながりができた都市計画の官僚たちの知見、自分達がレーベルク帝国やアルテーラ王国の帝都・王都やその他の街を見てきた経験を足し合わせて設計を頼むことにした。


今後も開拓を広げていくことも踏まえて、1辺が1㎞の正方形で土地を区切ることにした。

すべて上を歩けるほどの石壁で囲い、四隅には塔を作り、四辺それぞれの真ん中には門を設置、それを結ぶ十字に太い幹線道路を用意する。この石壁と幹線道路により火事の延焼を最低限の範囲にとどめることが出来るようにする。

北東の区画、500m四方の土地には家屋等は建築せず、池や草原にすることで日ごろは従魔たちのスペースや衛兵の訓練場にするなど、防災公園としての場所も確保する。薬草畑にすることも考える。

十字の幹線道路とそれからの支線に合わせて上下水道を整備し、西の小川に排出する前には処理層を作る。北東角の一ヶ所だけ全体より高くしてそこにゴミが入らない貯水槽を用意する。十字の道路部分は他よりもほんの少し低くして、雨水もその幹線道路の地下の下水道に流れる仕組みにする。


今まで森の南西部を適当に開拓していたので、まずは南西角1㎞四方をそのまま残しておきながら、その北部に当該計画に合わせた都市を構築し、そこに皆が移動した後に南西角を再整備することにした。

最初に整備した1㎞四方では、北東が池や広場、南東が家臣団でも幹部用の屋敷、南西が一般兵士などの宿舎、北西が鍛冶や木工の作業場に割り当てることにしたが、それでも十分な広さがある。4精霊の祠、知識・魔法の女神ミネルバと、眷属天使マルカルロを祀る神殿もそれぞれ立派に南東エリアに建てることにした。

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