第638話 マドロア誕生

サラたちが王都に着く少し前、デュドニとガエルの子供が誕生していた。女の子であり、マドロアと名付けられた。両親が奴隷の場合はそのまま奴隷にするのが普通であるが、サラが通常の王都民として育てることとしたので、両親が泣いて喜んでいた。

孤児院の子供たちも妹が出来たとして喜んだのもあり、多くの仲間に育てられることになる子供であった。


王都に着いたらすぐに登城して宰相に対面する指示を受けていたため、ハリー、ティアーヌ、家宰ローデットの3人を伴って登城し、この半年ほどの詳細を報告する。ときどき水精霊シルビー、ローデット経由で報告していたので、特に重要な情報は無いが、形式的なものでもある。また、アルテーラ王国から連れてきた、元海軍幹部5人と元帝国軍人3人の引き渡しも行った。

すると宰相と面談していた応接に、国王も現れ

「期待以上の働きであった。褒美を取らす」

とかなり大きな布袋に貨幣が入ったものを与えられる。サラとしては、また王城の宝物庫の魔導書の期待もしていたので、顔に出てしまったようで

「魔導書はまた別の機会にな。そなたが欲しいものを残しておく必要もあるのでな」

と笑われてしまう。


王城での用事も終わり本宅に戻って来ると、師匠エミリーも転移で駆け付けてくれていて、隣人カーラも含めて、新しく増えたメンバも交えた食事会をすることになった。もう本宅の食堂でも入りきらないため、庭にテーブル等を出してのイベントになってしまった。そこでは生まれたばかりのマドロアのお披露目もあり、盛大なパーティーとなった。

新たに仲間に加わった、ドワーフ親子、そのドワーフの息子ベンノとともに盗賊につかまっていた使用人、そして最後に奴隷として仲間になった元海軍、元悪魔教団のメンバは、この全員での食事会イベントは初めてであり、伯爵という上級貴族と奴隷が和気あいあいとしていることに違和感があったが、そのうちになれると周りに言われるのであった。


約半年不在にしていたこともあり、旅の途中にも作成していた魔法回復薬等を持参して、ミケラルド商会に訪問する。ドワーフ村への紹介状へのお礼、途中の街への配達依頼の報告なども兼ねてである。さらにはバスキの街での、商店への支援へのお礼もある。

互いに持ちつ持たれつですよ、と言われながら、末永いお付き合いを、と念押しされるサラであった。

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