第610話 ベンノ

川のねぐらで保護してからもあまり会話も無かったドワーフのベンノも、王都ゴルガに向かう途中でのハリーの人懐っこさから、だんだん話もできるようになった。


ベンノは、アルテーラ王国にあるドワーフ村の生まれであるらしい。ただ、金属加工が主な仲間たちに対して、木工がやりたいベンノは村を飛び出してしまった。しかし、人付き合いもぶっきらぼうであることもあり、また商売が上手なわけでもなく、あまり上手くやっていけていなく、しまいには盗賊につかまってしまったのが川のねぐらの状態とのこと。

盗賊のねぐらにおいても、木工技術は商隊の馬車の解体や船の補修など程度であり、ドワーフだからと盗賊の剣などの手入れ、修繕などもやらされていた。村でも基礎は学んでいたので、小さな鍛冶設備を用いて少しは対応ができていたのだが。


ドワーフ村に顔を出すのは、両親に長い間連絡できていなかったからであり、その後はまた木工の修業にでも出ようと考えるとのこと。

コルマノン王国の王都に、女性ドワーフの鍛冶職人の仲間、カーヤが居る話も興味深く聞いていた。



ちょうど迎えたハリーが誕生日のときにはいつものように皆で食事をして祝ったが、ベンノも仲間になってハリーを祝うぐらい打ち解けて来ていた。

そのハリーが、合間合間で馬の乗り方をベンノに教えていたので、王都ゴルガにつく前には馬にも乗れるようになった。


馬車を連れた移動であり、バスキから王都ゴルガまでほぼ1ヶ月、つまり5週間かかった。


王都ゴルガに到着すると、まずミケラルド商会の最後の配達先である支店にも顔を出し、すべての荷物を届けて受取証を貰う。

その後、トリストフたちが事前調査していた宿の一つに泊まり、冒険者ギルドにも顔を出す。いつものように精霊たちの祠の情報を聞いていると、ベンノがドワーフ村に土精霊の祠があると教えてくれる。

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