第609話 アルテーラ王国事情

一通り盗賊騒ぎの後始末がついた後、トリストフたちに頼んでいた情報収集の結果を皆で聞く。

他者に仲間とみられないように、トリストフたちの宿にこっそりとサラとティアーヌのみが転移で入り込んでの情報共有である。


結果的には盗賊から商人、領軍の隊長格たちまで捕獲できたが、トリストフたちの情報収集でも、領軍が絡んでいることをつかんでいた。また、襲われた商隊たちは中小規模が多く、護衛隊を雇わない賭けに出るほどであるため、身寄りは少ないものが多かったらしい。これらの被害者情報は、ローデットからミケラルド商会に依頼した見舞いへ活かすことにする。


領主や領軍、海軍などについても分かったことがある。コルマノン王国では軍艦などの海での戦闘力は各領主ではほぼ所有しておらず王国の海軍に一本化されているが、島の多いアルテーラ王国では、領主それぞれもそれなりの戦力を陸だけでなく海においても所有しており、どちらかというと海での戦闘力に力を入れているとのこと。

そのため、バスキの港に居た軍艦は海軍のものだけでないだけでなく、領軍のものが多かったらしい。この領主もガレー船などに力を入れていて、騎士団などには質の低い士官が割り当てられることが多いとのことであった。


そのアルテーラ王国海軍に、レーベルク帝国が接触をしていた気配があるとの情報もあった。時期的にもコルマノン王国にレーベルク帝国が侵略をした頃と重なる模様である。

更なる詳細は王都ゴルガに行って確認した方が良いであろうとなった。



サラたちは、川のねぐらで保護したドワーフ、名前はベンノ、20歳をドワーフ村に連れて行く約束であったが、ベンノが馬に乗れないとのことで、馬車で連れて行くことになった。

今まではバトルホースにより、通常の馬車の半分の移動時間であったが、ゆっくりな移動となる。トリストフたちには従来の速度のまま、先に王都ゴルガに行って情報収集をして貰うことにした。

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