第607話 バスキ盗賊後始末
受領した資産一覧を持って、サラは王都に転移して、家宰ローデットとドラセム商会の番頭であるクリストンに相談をする。
「サラ様、いつものことですが、流石ですね・・・」
「まぁ、被害が出ていると聞いてしまったから」
「ま、それはそれで。ラブリニーやバッソのときのように、ドラセム商会に組み入れる方向でよろしいのでしょうか」
「あの時と違って、悪事に関係なかった従業員もいるからどうしたものかと」
「でも、非道な不祥事を起こした商会は取り潰しですよね。サラ様はどうされたいのですか」
「雇用は守ってあげたいかな。彼らは悪くないのだし」
「分かりました。ではこのような形でいかがでしょうか」
クリストンの提案はこんな感じである。
犯罪奴隷になった商人たちを引き取りはしても、顔を知る者がいるバスキではなくラブリニーとバッソに移す。そしてラブリニーとバッソに居た犯罪奴隷の商人たちから2人ほどバスキに送りこむ。
ドラセム商会の中心部分には奴隷の2人が居つつも、業務運営は悪事に関係していなかった者たちをそのまま雇用して任せる。
ラブリニー・バッソから2人がたどり着くまでと、経営が軌道に乗るまではミケラルド商会にお金を払って顧問になって貰う。
また、川のねぐら、川船、領軍の隊長格の屋敷は不要なので売却。商会の店舗、海上船、倉庫は業務運営に必要なので保持。別宅は、転移陣の設置のために残置。
川のねぐらでとらえられていた使用人たちは意向を聞いて、もし良ければその別宅の維持管理を依頼。
サラはその提案を受け入れ、ローデットからは被害者への見舞いの処理もミケラルド商会に委託するようお金とその依頼書を、クリストンからは上記の旨の手紙を受け取り、バスキに戻る。
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