第602話 バスキ盗賊

アルテーラ王国内での情報収集のためには、冒険者ギルドなどにも恩を売っておいた方が良いと考えるも、受諾は保留にする。


ミケラルド商会の配達先でもある支店に物資を届けるのと合わせて、話を聞く。

「商人たちの中で噂になっております。我々大手は護衛もしっかり用意するので襲われたことが無いのですが、護衛に関して冒険者への依頼や自前調達の余裕が無い中小の商隊が襲われている模様です」

「商売敵が減って助かっている?」

「我々はそのような目の前の小さな利益は追いません。地域全体として発展することの方が利益になりますので」

そこで、囮になる弱小商隊を装うための中古の馬車を馬付きで購入する。借用にすると、万が一の場合に馬車を守ることに気を取られる懸念を無くすためである。


トリストフたちにも連絡して、バスキの街に戻って貰い、街中での情報収集に当たらせる。今回の盗賊の件だけでなく、領主や領軍などの噂や海軍の情報なども対象である。



サラ達は冒険者ギルドに受諾を伝えた上で、宿にバトルホースを預けて、購入した中古馬車と痩せた馬で北に向けて出発する。盗賊に警戒させないため、若いアルベールとリリアナだけを御者台に、残りの4人は荷馬車に乗り込んでおく。


バスキから馬車で5日ほどの行程の街へ向かうが、最初の1日ほどは街道も太かったのが、2日目に道が分かれたところから急に川沿いの細い道になる。この川はかなり幅も深さもあり運送にも使用されているようで、ときどきそういう船を見かける。

そして3日目の夕方、道が川から少しだけ離れた森の中を通るようになったところで、待望の盗賊たちが現れる。


驚いたことに地龍ドレイクが3頭も使役された集団であった。Bランク魔物が複数であれば通常の冒険者や、護衛が十分でない商隊では対応できない理由もわかる。

「大人しく言うことに従って貰おうか?」

「・・・」

「こいつらのことを知らないのか?Bランク魔物の地龍、ドレイクだぞ」

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