第601話 港町バスキ2
軍船の近くに一般人が近づいても軽い注意で済むということは、これらの外見は特段の軍事秘密とは思われていないのであろうが、海軍の強くないコルマノン王国のサラ達にしてみたら立派な情報であった。
また、コルマノン王国に海賊を装って進出して来たのがアルテーラ王国海軍や国家全体であるならば、もっとピリピリしていてもおかしくはずである。アルテーラ王国海軍でも一部による行動である可能性を感じたサラ達であった。
先発のトリストフに見つけて貰っていた馬と泊まれる宿屋のうち、トリストフたちとは別の宿に手続きをした後、冒険者ギルドにも顔を出す。
精霊の祠の情報などを確認するが、以前に王都ワーズで聞いた風精霊の祠の情報を再度聞くことはできたが、土・光・闇精霊の情報は無かった。
募集中の依頼を確認していると、大きな街であり近くの魔物の討伐依頼のようなものはあまりなく、街中の雑用も多かった。また海の魔物討伐の依頼があることも、さすが島の多いアルテーラ王国であると思わされた。
すると、ギルドの受付から
「高ランクの冒険者の方にだけご相談したい依頼があるのですが、よろしいでしょうか」
と言われ承諾すると、個室に案内される。
「実は、盗賊被害と思われる報告が増えてきているのですが、領軍では対応しきれていないのです。かと言って大々的にその話をすると治安問題にもなりますので、高ランクの方だけにこっそり相談するように指示されていまして。その割に、領主が用意した報酬額は高ランクの方がご満足できるほどもなく・・・」
「ちなみに報酬はいくらでしょうか?」
「金貨3枚です」
「はぁ、どうしてそんなに少ないのですか?」
「ただのケチ、ンンン・・・失礼しました。お金の使い道に違う優先順位を考える領主のようでして」
「何か盗賊の情報はあるのでしょうか?」
「この港町バスキから北に向かう細い街道にて被害があったと言われるのですが、どの商隊も全滅し死体も残さずに持って行かれるようで、被害の証拠が無いのです。報酬が少ない理由の一つでもあります」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます