第600話 港町バスキ
国境手前のモンブールを出て西にしばらく向かうと、レーベルク帝国との国境と同じく、ここでもアルテーラ王国との国境は川であった。
国境線に塀や検問施設が無いのも同様であり、単純に橋を渡ると越境となった。
アルテーラ王国での最初の都市は港町バスキであり、アルテーラ王国の第2の規模との話である。
巨大な入り江全体が1つの街になっており、多くの桟橋に大小様々で多くの帆船、ガレー船が停泊している。流石に島も多く海軍もしっかり整備されているような王国であり、港の規模はラブリニーとは比較にならないほどである。
サラ達は、大きな街は王都ワーズや領都サイユなど平地の物になれていたため、港を見下ろすように、入り江の陸地側の斜面に沿って建物が階段状に立ち並ぶ風景は初めてであり、その街並みの美しさにも圧倒される。
早速桟橋に船を見に行くと、停泊している船にも驚かされる。
バッソで鹵獲(ろかく)したガレー船も、船になれていなかったサラたちには立派なものに見えていたが、このバスキにはそれよりも大きな三段櫂船(かいせん)もたくさんある。
「うわー、あの船、すごいオールの数!」
とハリーが驚いて言うように、櫂(オール)の漕ぎ手が上下3段に配置して見るからに高い速力を得られそうである。
「バッソでのは2段だったよね」
「これ、船の先っちょも頑丈そう!」
と盛り上がるように、衝角(ラム)の金属での補強も、鹵獲したガレー船より頑丈そうである。
「とても、アルテーラ王国に海戦で勝てるように思えないですね」
とティアーヌも冷静に発言する。
「おーい、そっちは海軍のエリアになるから入るなよー」
と、いかにも港湾の荷運びをしてそうな日焼けした屈強そうな男に声をかけられる。
「すみませんー。この街は初めてでー」
と謝って早々に桟橋の根元に戻って来ると、
「だいたいこのあたりは海軍、あっちが商船、その向こうの方が漁船とかだからな。気をつけろよ」
と教えてくれる。
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