第593話 カーヤ憂鬱
サラたちが港町から王都に帰って来て、サラが転移魔法陣に没頭している頃。
カーヤは18歳の誕生日を迎え、皆に祝って貰いながら、少し憂鬱(ゆううつ)になっていた。
長い間、鍛冶職人と商人のことに専念しており、サラたちと冒険にも行かず、帝国との戦争にも行っていないのに、最近は商人として発展する機会にも協力できないと断ってしまったことを悩んでいるのであった。
そこで、似た境遇で、毛皮職人と商人に専念し始めているリリーに相談する。
「良いんじゃないの。誰も困っていないでしょ。好きな鍛冶を伸ばして貢献すれば」
「でも、貢献どころか、新しく増えたメンバに鉄鉱石を取って来て貰うとか、助けて貰ってばかりで」
「あら、新メンバが増えるたびに、カーヤが高級な武器を配っているでしょ?」
「そうだけど。騎士団を作るとなっても鎧も作れなかったし」
「そうね。でも弓や盾を作る人も居ないわよ。そんなものよ」
「うん」
「じゃあ、いきなり金属鎧を作れなくても修繕とかなら出来るようになるだけで、皆が喜ぶわよ、きっと」
「そうね、それならできそう」
と、さっそく皆の金属鎧を作った鎧鍛冶職人に教わりに行くことになった。
実は、リリーも同様のことに悩みつつも、王都の外に出ることが多くなったサラが、王都にいるリリーの水精霊シルビーの≪召喚≫による王城との連絡にも貢献しているし、人気商人であるスクロールの材料である羊皮紙作成を新メンバに教えることでも貢献していると自分を慰めていたのであった。
ただ、サラは2人に対して悪く思うことは何もなく、戦闘力が無い従業員たちだけを王都に残すことになっても銀級冒険者でもあるリリーとカーヤが居ることによる抑止力にも期待できているし、自作の魔法回復薬やスクロールも安定して販売できているので、感謝していることも、2人とも認識していて、だからこその悩みであった。
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