第594話 ティアーヌ憂鬱
カーヤとリリーが悩んでいる頃、ティアーヌも悩んでいた。
サラのお陰で、変な主に奴隷として仕えることも無いだけでなく、自分が姉と慕った人の遺児で、甥や姪のように思えるアルベールとリリアナとも巡り合い一緒に生活もし、魔法関係の指導も出来ている。さらに、レーベルク帝国との戦争の際に自分達の故郷のエルフ村へワイバーンが襲って来た時にも助けて貰っており、恩義を返せていないと思っているのであった。
こちらも、サラにすると≪飛翔≫も出来て魔法的にも頼りになる片腕のようなものであるのと、他メンバが10代で経験が少ないところを大人としてフォローして貰っていることに感謝していることは、ティアーヌも認識している。
それでもティアーヌは、サラたちへの貢献を考えて、アルベールとリリアナを含めたドラセム家の魔術師団であるメンバを中心に、魔法の指導やダンジョン攻略の先導などを積極的に行っている。お陰で、アルベール、リリアナ、ミーナも上級の土魔法≪岩槍≫、風魔法≪浮遊≫の習得をさせただけでなく、自身でも光魔法の中級≪光爆≫≪照明≫、闇魔法の中級≪夜霧≫の習得を行った。
元暗殺者メンバのうち大人であるトリストフとカロルとも連携して、騎士団メンバに対して回復魔法などの魔法指導も行っているが、それだけでなく、10代が多い家臣団メンバに対して、社会人や成人としての振る舞いなどの指導も合間を見て行っている。
家宰であるローデットのみでは手が回っていないところを3人の大人がフォローしている状況である。お陰で、多感な年ごろが多いドラセム家の家臣団でも大きな問題は発生せずに済んでいる。ただティアーヌは、姉と慕った人の復讐に人生をかけて来ていたので、男女の恋愛面における機微はアドバイスできるほどの経験が無いため、エルフで美女であるにもかかわらずそれらの指導はできず、世間の裏表も十分に知ったトリストフとカロルに頼ることになっていた。
これらの家臣団への指導などでますますサラに感謝をされているのであるが、ティアーヌは自己評価が低いためなかなか満足できず忙しくしているため、美女として男性から人気があることにも気づかない残念な日々を過ごしていた。
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