第590話 転移魔法陣
その夜、師匠エミリーからの水精霊シルビー経由での返事は、すぐに王都に向かう、という物であった。
サラは、魔導書を読むこと自体は1人でできてもその後のイメージ把握を含めた実験等に対して非常に強力な助っ人であると喜ぶ。
隣人で魔道具屋を運営するカーラも仲間に引き入れ、エミリーが到着するまでにある程度の解読を終わらせておく。
「やはり空間魔法の系列ね。しかも≪拡張≫や≪収納≫と違って、≪帰還≫に近いわね」
「うん、ダンジョンでの階層を移動するときの魔法陣にとても似ている。ただ、ダンジョンの魔法陣は光っているので細かいところは分からないけど」
「これ、詠唱魔法や魔道具と言うよりは儀式魔法みたいな感じね。自由な場所に転移するのではなく、ダンジョンでの転移陣のように、あらかじめ出口を決めるみたいね」
「行先を指定する際の、絶対座標と相対座標ってどういうことかな」
「例えば、ここから東に10m、北に5mってのが相対座標よね。絶対座標は、どこかに世界共通の基準点があって、例えばここの座標はその基準点から東に何m、北に何mとかかな。でも基準点ってどこだろう?」
「ダンジョンの中とか近くなら相対座標で良くても、この王都ワーズからヴァーヴ侯爵領都サイユへの正確な距離が分からないから絶対座標を使うのかな?」
「まずは相対座標で試験しましょう」
と、サラの屋敷で人が来ない場所を使って、実験を行う。
実験でわかってきたことは、出口に魔法陣は不要であること、指定場所に既に物があると転移が失敗すること、魔法陣をはみ出るものは送れないこと、魔法陣を大きく描くとそれだけ転送できる量が増えるが消費魔力が増えること等であった。
無生物だけでなく人間も転移できることも確認してある。
念のため、王都ダンジョンの転移陣も確認に向かう。光っていて判別が難しかったが、転移魔法陣を学んだ後ではある程度読み解くこともできたが、入口で自由な階に転移できる仕組みや表現までは解読が出来なかった。まだまだ奥が深いと再認識させられる。
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