第565話 模擬戦2

「ぜひともそのお力を拝見したく。こちらの神官とお手合わせください」

とカプラーノは、女性神官を前に出してくる。

「そのようなことは」

と止めようとする宰相の発言の途中で、

「よかろう。ちょうど騎士団練習場であり、広い場所はある。ドラセム伯爵、お相手さしあげろ」

と、いい加減カプラーノにイラついていた国王がサラに命じる。サラなら負けることなど無いと信じての話でもある。サラも心の中でため息をつきながら、

「かしこまりました」

と頭を下げる。


騎士団たちを少し下がらせつつ、国王や使節団たちも片方により、ちょうど第1騎士団の前あたりに広々とした模擬戦会場が作られる。


会場を設営している間に、

「アッズーラと申します。戦の神マース様の神官になります」

至高教団の主神デメテルの神官でないことに驚きつつ

「サラ・ドラセムです。よろしくお願いいたします」

と挨拶をする。

また、サラは宰相に

「使節団に何かあっては外交問題になるので、なるべく受け身で大怪我をさせぬように。絶対に殺してはならぬぞ」

と注意喚起される。宰相も負けるとは全く思っていないようである。



「開始」の合図の後、サラは直ぐに水精霊シルビー、火精霊ヨルバ、風精霊ジョステルと、姿を消した天使マルカルロを≪召喚≫しつつ、自身を≪結界≫で囲う。

その間に対戦相手アッズーラも、なんと天使を≪召喚≫していた。


初めて見るマルカルロ以外の天使に驚いている間に、その天使から≪火炎≫や≪氷刃≫の攻撃が放たれるが、≪結界≫で弾くことができている。


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