第550話 戦争奴隷

戦争奴隷についてあまり期待していないが一応面談をしてみることにするサラたち。面談するのは、サラ以外に従士長のハリーと家宰のローデットになる。


奴隷商にまず話を聞くと、2年前に帝国との戦争で捕虜にして身代金を払って貰えず戦争奴隷になったのは200人。犯罪奴隷は借金奴隷よりは命令できる範囲が増えるが、犯罪奴隷ほどではなく中途半端なので人気が無いらしい。実際サラたちもあまり検討対象にしていなかった。

見た目が良い者、単独の戦闘力が際立って高い者たちが先に売れて行ったが、2年経ってもかなりの数が売れ残っている。本人たちも自尊心が傷つき覇気が無くなり、購入検討者にとって魅力がなくなるという悪循環であり、奴隷商としても売れ残りに対して維持コストがかかるので困っているとのこと。本人たちの同意が得られれば犯罪奴隷に切り替えての販売も考えだしているらしい。


騎士団運営の助言が貰えるためには最低でも現場指揮官クラス以上が欲しいので、騎兵であったと思われる金属鎧を着て騎乗できることを選別条件にすると数十人に絞られるという。選別後の人物書類を見ていると、没落貴族で復興を目指して出陣したが捕虜になり縁者も居ないため戦争奴隷になったという経歴の者が居た。

早速面談をすると、いかにも武官という体格ではあるが剣より頭脳の方が得意とのこと。名前をルーカイ・マンハイムと言い、境遇にも関わらず目は死んでいなかった。


ローデットが確認をする。

「もし我々が購入した場合には、当然帝国と戦うこともあります。また捕虜の原因でもある我々で良いですか?」

「仕方ありません。まずは生きることで先につなげることが優先です」

「騎士団の訓練や運営について自信がありますか?」

「あくまでも中位層までの経験であり、上位層で運営する立場は経験していないので、すべての機微までとは言えないですが、役に立てるつもりはあります」

正直な性格でもあるようであり、ハリーは気に入ってルーカイに握手を求める。

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