第535話 1期卒院生

そうこうしている中で新年になる。

王都在住の法衣伯爵として、サラはハリーを連れて王城に新年挨拶に行く。まだまだ知らない人ばかりで困っているなかで、王国魔術師団長ブロワール・レデリクスが話しかけてくる。伯爵に陞爵(しょうしゃく)した際に宮廷魔術師の話をしていた人物である。

「宮廷魔術師になることを急かすわけでは無いが、折をみて見学に来て貰えないだろうか。ドラセム殿が広めてくれた魔法習得方法も活用し、少しは上達しているはずである」

と誘ってくる。

「魔術学校の図書館に無いような魔導書もありますか?」

「はは、もちろん。宮廷魔術師でないと基本的に閲覧はできないが、来て貰えるなら便宜を図ろう」

「ありがとうございます。ぜひお伺いします」

と約束する。王国騎士団の敷地内に王国魔術師団のエリアもあるらしい。


王城の帰りには、ヴァーヴ侯爵屋敷にもカーヤ作成の高級武器の献上品を預ける。寄子ではなくなったので、寄子に混ざることは遠慮しながらお世話になった礼儀として、ローデットからの指導である。


新年ということで孤児たちが1つ加齢となるので、新年祝と誕生日祝いをセットになるが、皆でお祝いをする。

アロイヴは職業訓練を開始する8歳になるが、ローデットが気に入っていて、家宰の手伝いを、と望まれる。本人も魔力操作や剣の扱いへ向いていないと思っており、その道を試すことになった。一応卒院となるので、従業員棟に住居を移り個室になる。まずは有力な貴族の名前、家紋、領地などを覚えることから始めるが、孤児院の手伝いも継続する。

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