第533話 敷地追加2

その移設工事の途中にリリーの誕生日があった。15歳の誕生日であり、成人の節目である。

ヴァーヴ侯爵領都サイユの両親からも祝いの手紙が来ている。

兄であるハリーからも祝いの言葉と共に、成人の宣言の要求がある。

「皆さん、お祝いをありがとうございます。皆様のお陰様で成人となり、子供のときの夢であった冒険者として活躍して毛皮職人・商人になるというのは既に実現できています。色々と悩んではいますが、今のところは毛皮職人・商人をもっと磨いていきたいです」

とリリーの宣言に対して、盛大な拍手となる。


それを聞いたサラは、今追加して行っているのは住宅街側であるが、商店街側の追加による店舗スペースの増加も、と考える。そこで、サラたちの店舗の西側と、カーラのお店の東側の店舗を含めて買い取り交渉の対象を増やすことにした。


ただ、次に購入できたのは従業員棟と孤児院にしている家の北側の2軒であった。まずデュドニとガエルの夫婦と孤児3人にいったん従業員棟の北に移って貰い、孤児院の家とその北側の家を魔の森代官地に移設する。その上で、その南北2つの敷地でも南端の子供が遊ぶ庭は残したまま、新たな孤児院を建てる。孤児院に向いた大部屋があり食堂もお風呂も広い造りの、デュドニ夫婦以外に孤児が20人ほどは収容できる造りである。

最後に購入できたのは、もともと来客用で建て替え中のサラたちの仮住まいの北側である。この一連の買収調整により、住宅街の二本の通りに挟まれたきれいな長方形の敷地になったが、もともとの来客用の屋敷の南北2つの敷地と、従業員棟の北側の敷地の屋敷は用途がはっきりしないままである。

従業員棟の北側は、従業員が増えたときに3棟目4棟目と追加で良いであろうが、来客用の屋敷2つは流石に不要であろう。父兄たちは王都に来ないと言っているし、師匠エミリーが来てくれても店舗付が良いであろうし。おいおい考えることにする。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る