第526話 孤児院用地取得2

従業員棟は独り立ちできる者たちばかりであるので個室でも良かったが、孤児院では世話の必要な子供たちばかりであり、個室ではなく大部屋が好ましいと思われる。事実、見学に行った孤児院では子供たちは相部屋で、年上の子供が年下の子供の面倒を見ていた。


新しく調達した敷地にあったのは中流家庭の建屋であり、夫婦と子供数人が暮らせるような作りである。

いきなり多くの孤児を受け入れることもできないこともあり、建て直しはおいおい考えることにする。


仲間の大人たちと改めて相談すると、デュドニとガエルの夫婦がその建屋に移り、孤児たちの面倒も並行してみることにするという。実際に子育て経験のある大人であり頼もしい。

それにデュドニとガエルは夫婦なのに、他のメンバと同様に従業員棟で別々の個室に暮らしていたことの解消にもなる。


ローデットの話の通り従者を増やしていくには従業員棟も20部屋いっぱいいっぱいであったので、例え2人が抜けても足りない。従業員棟の敷地には庭であった場所にもう一棟建てる場所があるため、類似の個室が20部屋ある建屋を発注しておく。



これらの準備をした上で引き取る孤児を探しに行く。対象として、職業訓練を始めだす8歳より幼いが、あまりに幼すぎると育てるのに慣れが必要になるため、まずは6~7歳ぐらいを3人からと考える。


ローデット、デュドニとガエルの4人で、あたりをつけていた孤児院に訪れる。この孤児院は教会が共同で援助して運営しているところで、サラたちも何度か炊き出し等に訪れている場所である。

「ドラセム様、ようこそお越し頂きました」

「以前にも少しお話しましたが、孤児院の運営を開始しようと思います」

「それは大変良いことかと。私たちの孤児院だけで王都の孤児を十分に救えているわけではありませんので」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る