第525話 孤児院用地取得
サラは魔の森の開発と並行して孤児院の設立も、伯爵に陞爵(しょうしゃく)したことから高貴なる者の義務、ノブレス・オブリージュとしてますます必要であると考える。
今の屋敷などから離れた場所、例えば暗殺者ギルドの拠点であったところでは、丁寧な面倒も見ることができないため、やはり屋敷と隣接ぐらいが望ましい。一番理想は、従業員棟のさらに向こう側である。
隣人付き合いももちろんあるが、それよりもずっと以前からの近隣住民であるカーラと一緒に購入相談に訪問する。孤児院設立という目的と相場よりも高い購入額を提示することで、すんなり妥結することができた。来客用屋敷にしている場所を売却相談してきた人と同様に、夜襲を受けるようなサラたちの隣人であることに心配していたこともあったのかもしれない。
購入した敷地と従業員棟の塀は取り払ったことにより、順次購入した4敷地が横並びにつながることになる。順に、孤児院、従業員棟、サラたちの住むメインの屋敷、来客用屋敷であり、来客用屋敷の道路向かいが店舗兼住宅になる。メインの屋敷の道路向かいであり、店舗兼住宅の隣でもある場所がカーラの店舗兼住宅になる。
店舗兼住宅は、南北に入口があり屋敷の反対側が店舗で商店街になっているが、屋敷の並びは住宅街側の出入口しかなく、反対側は他者の敷地との境界になっている。屋敷の安全性を確保するには、その反対側に隣接する敷地も購入した方が良いのかもしれない。
また今のままでは引き取れる孤児の数も少ないため、それ以外の隣接敷地も含めて購入交渉を継続することにする。
ローデットは、
「今までは子爵でしたので20人ほどの従者と申し上げていましたが、伯爵に陞爵されたので、例え法衣といえどもその3倍が体面のためには必要になります。また、そろそろ貴族街に屋敷を持つこともご検討ください」
と進言してくる。
ただ、貴族街に行くと安全性は上がるのは確かであるが、当然近所が全て貴族でありその付き合いに気をつかうのと、何より仲間と離れることになるので、しばらくはこの屋敷を拠点にしたいと考えるサラであった。
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