第524話 魔の森代官地2
サラは帰宅し、仲間たちに陞爵(しょうしゃく)と魔の森の代官地の話をする。
水精霊シルビー経由で師匠にも、そして手紙で父兄にも報告する。
ハリーは
「ワイバーンのワンを育てる土地のつもりが大事になってしまったな・・・」
とつぶやくが、カーラは言う。
「王家にしてやられたわね。魔の森を開発したくても出来なかった戦力不足を、うまいこと冒険者たちに費用を払うことなくサラに押し付けた感じじゃない?」
「おっしゃる通りですが、逆にサラ様と皆様の力ではそれを利用することで、豊富な資源を活用し放題であり、街道沿いに村や街をつくることすら許可されているということになります」
とローデットは返す。
「商売目線では、王都から馬車で1時間程度の場所に自由にできる土地があるのであれば、店舗を出したい者は多いはずで、魔物からの安全が保障されるのでしたら、副都のように発展させることも可能になると思います。ミケラルド商会なら喉から手が出る程欲しい権利のはずです」
とクリストンも肯定的にとらえている。
「ま、明日にでも貰った地図をもとに現地を見に行きますか?」
と、実は別のところで『寄親寄子の話も無くなると結婚の話も無くなるのでは』と喜んでいるサラは楽観的に受け取っていた。
クリストンから聞きつけたミケラルド商会の番頭も同行して、サラの仲間たちが連れ立って街道に近い魔の森へのピクニックのようなものになった。
実際に商会の馬車での時間も測定しながらの下見であり、出現する魔物も魔の森の端でしかないため脅威となる魔物は居ないことが確認される。魔の森の西の境は北から南への小川のようである。少し進むと薬草の群生地も発見できたので、魔の森の南西の角から群生地までを含めた小さな村程度の面積を縄張りと仮置きする。ロワイヤンの付近の村や砦でも実施したように≪土壁≫の応用で、簡易な堀と壁を張り巡らす。今後はこの範囲の木々を撤去して平地にすることになる。
まだワイバーンのワンは小さいのですぐさまでは無いが、それまでに最低限の土地と建物を作った上で、だんだんと敷地を広げていくことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます