第514話 帰国途上

サラたちは皇帝の書付があるものの、第2皇子派の地域を通るので、安全のためにまた2班に分かれて、冒険者風の6人と、商売夫婦と若い護衛冒険者という体(てい)を取ることにした。


しかも今度は急ぐ旅では無いので、馬車の速度に合わせて移動する。途中途中で街や村にも寄るが、内戦中ということもあり食事事情はあまり良くないままであり、途中で見かけて狩る魔物の肉の提供などは重宝された。

流石に籠城中の帝都では行けなかった魔道具屋も見つけるたびに覗いてみると、サラやハリー個人が欲しいと思うほどの物は無いが、魔剣の類は少しずつ見つかる。武を重んじる帝国だからか、王国より数が多い気がする。これらは増えた仲間たちに配るため購入していく。リリアナには≪炎≫付与のショートソード、ティアーヌには≪氷≫付与のダガーなどである。元暗殺者のメンバにも適正そうな武器を入手するごとに、基本的には年長の者から順次配布する。

購入資金は今回膨大に増えたこともあり、王都でも色々と購入して配ることを考える。また、魔道具の作成である付与魔法の訓練も改めて考えるサラであった。


途中途中の冒険者ギルドで精霊の祠の情報を探すも、残念ながら入手できなかった。


帰国途上では危険も少なく、暇な時間が増えるので、それぞれ魔法訓練等を行っていた。

≪飛翔≫がかなり有効な魔法であることから、水や火属性の攻撃魔法がある程度できるものには、風属性の習熟も検討するように指導した。具体的には、ミーナ、アルベール、リリアナが≪そよ風≫のみもしくは≪風刃≫どまりであったので、≪風刃≫や中級≪風盾≫≪強風≫などである。

また既に≪飛翔≫が使えるエルフのティアーヌには、火精霊ヨルバと≪契約≫≪召喚≫ができるようにして、攻撃の幅を広げるようにした。


元暗殺者メンバも、元々鍛えられている武器の扱いだけでなく、魔法についてもそれぞれさらに磨きをかけていくように指導する。このドラセム家の従士は剣よりも魔法を外部から期待されることは、この帝国とのかかわりで十分に認識したメンバであり、また、サラやティアーヌたちの活躍も目の前で見たことにより身近な目標もできたことでますます意欲が高まっている。

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