第511話 帝都包囲網攻略

帝都を包囲している第2皇子派を、賊として退治する指名依頼を受けたサラたちは、具体的にどう攻めるかを相談する。


所詮18人しかいないので、平地で何万人もの軍隊と真正面から戦う選択肢は当然無い。

ロワイヤンの街の場合に、高い城壁の上から安全に戦えたのは、城門に攻め立てる敵が近寄って来ていたからである。その近くの国境の橋の付近でも鎧を着たまま渡れない川が間にあり、敵が橋に攻め入って来ていたので、安全に戦えていた。

今回は、包囲網も帝都の防衛が強固であることを相手も認識しているため、城門や城壁の上から通常攻撃が届く範囲に陣取りはしていない。


仲間たちの命を優先するため、安全圏から届く範囲の攻撃をするには、精霊などを召喚して敵に攻撃をさせるしかない。ただし、精霊を使役できる者も限られるだけでなく、その距離が限られるので、城門・城壁からのある程度の距離だけになる。

また、スケルトンやゾンビの使役もあり得るが、悪魔魔法を使えることを仲間以外に公表することは避けたいので、却下。

サラとティアーヌが≪飛翔≫しながら精霊などを使役するのが現実的であるが、今度は敵側にも魔法使いがそれなりにいることの危険性も考慮する必要がある。


それらを踏まえて、国境では使う機会が無かったウッドゴーレム、最近アンデッド村で使った程度であり、これを試すことにする。もし魔法使いが火魔法などを使ってくれば、逆にそれを狙い撃ちすることも期待する。



少しでも安全を高めるため、夜間攻撃をすることにし、サラとティアーヌが≪飛翔≫で精霊魔法を使える者たちを城壁に運び込む。城門近くにのみいる包囲網ではあるが、かといって城門から≪火炎≫や≪豪炎≫は届かない場所ではあるため、≪召喚≫した精霊をできるだけ城壁から遠くに飛ばして、そこから≪豪炎≫等を精霊に放たせる。効果を少しでも得るために、東西南北それぞれの門に分散して配置をする。

サラはこっそりと包囲網の外側にゴーレムを置いた後、≪飛翔≫で上空にあがり、門付近で騒ぎが起きたのに合わせて、その反対側からゴーレムに攻め入らせる。しばらく様子を見ていても、ウッドゴーレムでありあまり攻撃力も防御力も無いが、夜襲であり混乱を生じさせることは十分にできていた。ただ、魔法攻撃は受けていないようであるため、精霊たちに主に荷馬車や天幕などに火魔法などを放たせることにした。

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