第504話 帝都指名依頼2

兵糧に関しては指名依頼である納品依頼の完了サインを貰ったサラは、

「他にご用命はございますか?」

と皇子と参謀に尋ねる。

ハッと我に返った皇子は

「ドラセム子爵は金級冒険者と聞いた。魔物退治も依頼して良いのであろうか」

「相手や条件にもよりますが」

「帝都付近に兵を集めた結果、帝国のあちこちで魔物に対する抑えが効かなくなっているらしい。お願いできないか」

「具体的な場所や魔物は、冒険者ギルドで伺えばよろしいでしょうか」

「納品依頼の代金と合わせて、再度私が同行します」

と、また参謀と一緒に冒険者ギルドに行くことになった。


冒険者ギルドでは、まず兵糧への対価としてボーナスも含めて多数のミスリル貨を受け取る。続いて、帝国内で特に第1皇子派の地域である東部での魔物被害の多いところの内容をそれぞれ指名依頼にして貰い、軍事機密であるはずの地図と、通行など優遇する旨を書かれた第1皇子の書付を預かる。

地図を見ると、主に兵を移動したのは帝都に近いところばかりであるからか、魔物の討伐場所もそれなりに近いところのようである。しばらくの厄介払いで遠くに行かせるつもりも疑ったが、そうではなかったようである。


サラたちはその夜のうちにハリーたちの元に戻り、≪収納≫指輪を再配布すると共に、状況を共有する。また水精霊シルビーによる伝言で、伯爵領都のエミリー経由でヴァーヴ伯爵と、王都のリリーと伯爵執事経由で王城にも経緯や状況を伝える。伯爵は穏健路線を選びたい方であったので、詭弁(きべん)でも第1皇子の助けになる冒険者の営みを続けるようにと追認される。

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