第503話 帝都指名依頼

第1皇子に潜入した目的を問われたサラ。

「正直に申し上げますが、困窮度合いを確認し、必要であれば兵糧をご提供させて頂くためです」

「それはありがたい話であるが、それにより王国に借りを作るわけにいかない」

と、目的を告げても、ある意味想定通りの言葉を言われる。


少し言葉が無いと、参謀らしき者が発言をしてくる。

「発言をお許しください。ドラセム子爵は元々冒険者であるとか。冒険者ギルドで、兵糧調達を指名依頼させて頂くのはいかがでしょうか」

「それは詭弁(きべん)ではないのか?」

「国と国の外交や体面とはそのような物です」

「ドラセム殿、それでも良いか?」

「皇子様がよろしいように」

「では早速に」

と参謀らしき者が冒険者ギルドへ同行するという。


前回に帝都に来た時は冒険者ギルドでワイバーンと対決させられたサラであったが、そのことには触れずに、案内に従い大人しくティアーヌと2人で馬車に乗り移動する。

冒険者ギルドでは、受付から

「では、こちらがサラ・ドラセム殿への指名依頼になります。兵糧を可能な限り調達してくること、代金については調達量が多い程ボーナスがつくようになっています」

と書面の確認を求められる。特におかしな記載が無いことを両者が確認すると、再度帝城に戻り、兵糧を並べてよい広場に案内される。

サラとティアーヌは、他メンバの≪収納≫指輪も預かってきており、その広場に膨大な兵糧を次々と並べていく。

また、山でたくさん回収したワイバーンとドレイクの死体や、移動中などで始末した魔物なども、魔石等の貴重な素材以外は肉として提供する。


確認に立ち会っていた皇子と参謀は言葉を無くしていたが、サラは依頼に対する確認サインをして貰うために書面を差し出すと、慌てた参謀はサインして返す。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る