第502話 帝都侵入

レーベルク帝国の帝都タウバッハの近くまでたどり着いたサラたち。バトルホースで駆けたこともあり通常の馬車移動の半分ほどで着いている。


大きな山1つが帝都であり、まわりに川から引き込んだ堀がめぐらされていて城壁も非常に高い。取り囲んでいる第2皇子派も十分に認識しているからか、籠城している第1皇子派との戦闘が行われている感じがしない。包囲されたまま兵糧攻めされているのであろうか。


また、巨大な帝都を完全に取り囲むことができていないようであり、東西南北の各城門の近くにだけ第2皇子派の軍が置かれている模様である。

通常の援軍による兵糧の運び込みでは当然荷馬車になり、城門経由になるため、第2皇子派が間違えているわけでない。


しかし、≪飛翔≫ができるサラたちには好都合である。

夜に≪飛翔≫が可能なサラとティアーヌのみが帝都に飛んで入り、そのまま帝城の入口まで進み、ロワイヤンの街の代官からの書状を見せて城に入る。さすがに深夜に面会がかなうことは無く、翌朝まで応接室で待たされる2人。水精霊シルビーによる伝言で、今夜中に帰られないが安全である旨だけは、帝都から離れた森で潜んでいるハリーたちに伝える。


翌朝、第1皇子派の幹部に面会するつもりでサラたちは会議室に案内されると、そこに居たのは第1皇子アウレアス・ジーモント・レーベルクその人であった。

「ドラセム子爵、早速であるが御用向きをお伺いしよう。あなたほどの魔女が忍び込むのに苦労したとは思わないが、わざわざ籠城中にお越しいただいたのであるから」

「第2皇子派が王国に進行してきたため、ロワイヤンの街の近くの国境橋、龍の棲む山の国境それぞれにおいて撃退した旨はご存知でしょうか」

「それとなくは。あくまでも籠城中でも認知できる範囲であるが」

「王国でも武闘派と穏健派がおります。おそらく武闘派は反撃として帝国領に攻め込んでいる頃と思われますが、もう一派は第1皇子と友好関係で居たいと望んでおります」

「どういうことかな」

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