第501話 帝国視察

状況把握のために帝都に向かうよう、寄親ヴァーヴ伯爵から依頼されたサラたち。


おそらく籠城中の第1皇子派は兵糧も不足しているとの推測から、ロワイヤンの街に自分たちが持ち込んだ兵糧もまだまだ残っているのでそれらを魔法袋に収納し、今回消耗した魔法回復薬を補充するために薬草や薬瓶も大量に仕入れて、18人の仲間全員で帝都に向かう。


帝国が弱った隙に今度は逆に攻め入ろうという武闘派も国境に集まっているため、巻き込まれないように早々に帝国の奥に向かう。


サラたち18人は、見るものが見ればわかる戦馬バトルホースへの騎乗であり、前回と今回で有名になっている可能性のあるサラを、安全のために少しでも目立たせないために、2班にわける。先日も辺境に一緒に行った6人は、冒険者風にするため黒色に統一した安物ローブに統一する。

元暗殺者たちは12人のうち幼いものたちを馬車に乗せ、商隊にみせるため荷馬車も購入して補給物資を商品のようにみせて、サラたち6人の少し後を進むようにした。トリストフとカロルが夫婦の商人で、その他は雇われ護衛などの体(てい)である。


サラたちは以前も帝都に行ったこともあるが、当時は王国の使者団の立場であり限られた行動範囲であったので、今回は色々と見てまわりたいが、第1皇子派の状況も心配であるので1ヶ月以上の移動時間は惜しい。

そのため、一番怪しまれる国境付近を偽装により通り過ぎた後は、荷馬車も魔法袋にしまって、全員がバトルホースで急ぎ駆け出すことになった。


国境からも離れ、帝都との真ん中あたりになると、どちらの戦場からも離れているからか、街でも村でもそれなりに平和な雰囲気であった。サラたちも途中途中で遭遇した魔物を始末した肉の持ち込みにより、近況などの聞き込みは容易であった。帝国西部は第2皇子派というものの、これらの地域では平和の継続を望むためどちらかというと穏健路線な第1皇子派であるとの話であった。

ただ、帝都に近くなると兵糧の徴発があったからか住民の雰囲気は厳しく、よそ者であるサラたちと親しく会話する者も居なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る