第493話 ドレイク群

翌日もときどき飛び立っているワイバーンをサラがしとめに行きながら、斜面を登る6人。

午後も遅い時間になったときに山と山の間のくぼみである鞍部(あんぶ)・コルにたどり着き、そこからは平坦(へいたん)に近い片峠(かたとうげ)になる。西向きに振り返ると斜面であるが、そこから東向きには平坦である。北側も南側もそれぞれ高い先が見えないほどの山であるが、北側からワイバーンが飛び立っているのを見ている。

つまり、北側の上の方にワイバーンの棲み処があるのであろう。


そこから少し進むと大量の地龍ドレイクが向かってくるのが見えた。ドレイクは魔の森にも居たが、翼が無く硬い鱗に覆われた大きなトカゲのようであり、口からは炎を吐く亜龍である。

Bランクの魔物であるドレイクが群れで西に向かっているのである。しかも異様に興奮をしている。

悪魔ストラデルが『呪詛をかけられたものがいくつかいる』と教えてくれる。

このまま王国に侵入されると少なくとも辺境の森は多大なる被害を受けると想像される。スタンピード、魔物の氾濫というよりは、このタイミングであるので帝国の仕業であると推測するのが普通であろう。


幸い、この平坦部分の南北の幅は10mほどであり、それほど多くのドレイクが横並びにはなれないが、30匹ほどは居るように見える。

慌てて精霊たちを召喚するサラたち。ドレイクはそれほど素早いわけでないので、まずドレイクの先頭付近に対して≪霧氷≫と≪氷壁≫で進行を止める。口から炎を吐いて≪氷壁≫を溶かしにかかってくるが、こちらも力押しで複数の≪氷壁≫の発動と、後列も含めた≪霧氷≫≪氷槍≫などを皆が全力で発動し続ける。

騒ぎに呼び寄せられたのかワイバーン3匹が乱入して来たのも合わせて≪氷壁≫で閉じ込めて対応を行う。

しばらくすると、各々に持たせていた魔力回復薬を使い切ったメンバが座り込んでいる向こうには血まみれで凍ったドレイク達の群れとワイバーンという凄惨な状況になっていた。

サラは追加で魔力回復薬を配布し、≪氷壁≫などの魔法を解除してドレイクやワイバーンの死体を回収していく。


皆の疲労が限界であり、その場で野営をすることにした。

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