第490話 辺境急行2

ロワイヤンの街から北の山を抜けて辺境の森を見渡せるようになったとき、サラは位置的に自分の故郷、龍の爪先村の付近と思われるところから煙があがっているのを見つける。

冷静さを失ったサラは、ティアーヌとアルベールのペアを気遣うことも、リリアナを外すこともしないまま、今まで以上の速度で故郷に向かう。


近づいて分かったのは、煙を上げていたのは村そのものではなく、そこからそれなりに離れていた小屋であった。狩りに出たときに休憩に使う山小屋みたいな位置づけのものであった。


ワイバーンなどの気配が近くに無いことに安心しつつも、そのまま村に向かい、父兄の家の前で着地する。このときにはさすがにリリアナが居ることは認識して、括り付けていたロープを短剣で切り離す。

家には誰も居ないため、次は急いで村長の家に向かうと、その家の中に父兄も含めた村の主要メンバがそろっていた。

「サラ、どうしたんだ?急に顔を見せて。ついこの前に帰って来たばかりだろう?」

「え?ワイバーンの襲撃があったんじゃないの?」

「あぁ、狩人仲間が何とか逃げ切って村に帰って来た。何で知っているんだ?」

「たぶん山の向こうから帝国軍が間道を使ってやって来て、その関係でワイバーンが暴れているのだと思う」

と状況を説明する。


流石に辺境の村の住民は、その間道を知る者も居たが、現時点ではワイバーンが襲ったのは狩りの獲物を横取りしようとして、抵抗した狩人に攻撃したぐらいらしい。帝国軍の影は見えないと聞いて一安心のサラ。

その頃にティアーヌとアルベールも合流する。急ぎワイバーンから逃げ帰った狩人の怪我を回復魔法で治した後、またすぐ来るね、と4人でエルフ村に向かう。

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