第489話 辺境急行

いくら魔力が高くても力の弱いサラがいつまでもリリアナをつかんで≪飛翔≫し続けられないため、ティアーヌに2人を縛り付けるようにして貰っている。ティアーヌはもっと力があるが、念のためサラとリリアナが、ティアーヌとアルベールを縛り付けている。

この4人がいかに早く到着するかで辺境の安全度合いが変わるため、≪夜目≫も使いながら、暗くなっても睡眠等の最低限以外の時間は飛び続けている。

もちろんサラほどの魔力がないティアーヌは風精霊ジョステルの力も借りている。


遅れて、ハリーとミーナは6頭のバトルホースで山道を進んでいる。ミーナが騎乗する白馬ハンは、本来はサラにしか騎乗を許さない気位があるのだが、事情をサラが説明したことでしぶしぶミーナに騎乗させている。ハンは、ハリーの騎乗するコンと共に上位である力を見せて、騎手の居ない他の4頭に後れを取るどころか先導している。

もちろんハリーは金属鎧ではなく軽装に変えて、重量物はすべて魔法の袋に収納している。魔物に遭遇しても、戦闘時間も勿体ないことからバトルホースの脚力に期待するため武器すらしまって軽量化している。ミーナも同様である。


夜の休憩時にはそれぞれの状況を精霊の伝言で連絡を取る。

ティアーヌはエルフ村の村長に状況を確認するが、襲撃は無いことを聞き、都度安心する。村長には何かあればすぐにジョステルに伝えて貰うことで、移動中にジョステルの力を借りているティアーヌにすぐに伝わることを期待しているが、それでも夜に再確認するぐらい心配している。

自身が村の守り手になることを期待されていたのに、復讐のために村を出て今の状況になっているとの自責の念があるからである。


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