第487話 間道

その夜も、その日の戦果と合わせて反応が無かったことを、軍議にかけるも、前日と同様に帝国軍の意図に推測がつかないという結論で終わる。


就寝前、ティアーヌはエルフ村の村長から風精霊ジョステルの伝言で、辺境の異変の情報を得る。龍の棲むという山の気配がおかしく、見たことなかったワイバーンが遠くではあるが飛んでいるのを見たというのである。サラたちにも伝え相談するが、前回の戦争でもオークたちの移動を促したように影響が出ているのだろうか、という推測しか出なかった。


翌日はサラとティアーヌが≪飛翔≫で帝国軍に追撃を行い、前日ほど効率的では無かったが1,000人ほど死傷者を追加で発生させた。これで帝国軍は1万人で攻めて来たのに半数以上が死傷者になった上に兵糧不足になっていると思われる。


その夜の軍議で辺境の異変の話を出すと

「龍の棲む山には帝国との間に間道があります。万が一その道を帝国が進んだとしたら、山頂付近の上位龍ほどではなくても中腹あたりにいる飛竜ワイバーンなどが騒ぐ可能性もあるかと」

「もし間道を進んで王国に攻め入ったとすると、防御もない地区が蹂躙(じゅうりん)される可能性が!」

「やはりこちらの街道は囮(おとり)か!?」

という話になる。

サラは帝国と王国の国境である山の間道の地図を見ると、王国側に抜けた先の近くには、自分の故郷の龍の爪先村やエルフ村のある辺境の森がある。


慌てて、この地から北の山を抜けて辺境に行く道を司令官たちに確認する。山道であり通常は徒歩で3週間かかるため、あまり利用されていない道であるという。

万が一に備えて、領都と王都に連絡を取るのと合わせて、サラ自身が少人数で辺境に赴くことを宣言する。

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