第486話 帝国軍意図
翌日になっても帝国軍は特に打ち手が無いようで、橋に死体を増やしていくだけであった。
対岸でも川岸には近づかないため単純には魔法や矢も届かない。仕方ないので精霊たちを≪召喚≫して遠くに飛ばして、敵陣に魔法を投げ込ませる。しばらくは一方的に精霊たちの魔法攻撃を受けていた帝国軍はさらに東側に引きこもることになる。
その次は、前回の戦争の最終日と同じ、サラが≪結界≫をしながら≪飛翔≫で敵陣に近づき、精霊たち≪召喚≫したものたちに魔法を放ち続けさせる。≪飛翔≫を覚えているティアーヌにも≪結界≫をかけて同様のことをさせる。
もし敵の強力な魔法使いが登場した場合など、万が一のためにロック鳥のガンに上空で待機させて、何かあればサラもしくはティアーヌを両足でつかんで上空に逃げ戻って貰う準備をさせる。
森の中に布陣している帝国兵を狙うと効率が悪いため、街道沿いに居る帝国兵たちを対象に精霊たちにより王級範囲攻撃をさせるが、なかなか魔法使いからの反撃が来ない。
その翌日、翌々日も同様のことを行い、王国軍に全く被害を出さないまま、帝国兵に累計2,000人ほどの死者・負傷者という被害にしたと思われるが、敵陣から魔法攻撃は皆無なままであった。
さすがに違和感が強くなり、司令官である代官の息子を含めた幹部層と相談するも
「単純に恐れをなしているとは到底思えないですな」
「まるで囮(おとり)につかまっている気分ですが、帝国との街道はここしかなく、本命が他にあるとは思えないので・・・」
と、皆も疑問を感じても帝国軍の意図は不明なままであった。
その翌日は少々危険を冒(おか)すことになるが、サラは街道をもっと東部に進むことにする。当然今まで通りならば敵兵の損害も膨大になるが、敵の罠で敵の魔法使いの攻撃を受けたときには危険なことになる。そのため、ティアーヌには国境の橋付近でのみ同様のことを実施させて、サラのみがロック鳥ガンと一緒に、街道に沿って帝国軍の隊列を順次攻撃して行くことにした。
往路復路で、膨大にそれこそ当日だけで3,000人以上の死傷者を出した上に、兵糧と思われる荷馬車は念入りに燃やしたのだが、魔法攻撃は1つたりとも来なかった。
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